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首相に「納得できない」と直言 小売業界のご意見番が政財界を滅多斬り

産経新聞 4月22日(日)18時35分配信

首相に「納得できない」と直言 小売業界のご意見番が政財界を滅多斬り
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政財界に喝を入れる生団連の清水信次会長(ライフコーポレーション会長)=東京都中央区(瀧誠四郎撮影)(写真:産経新聞)
【ビジネスの裏側】

 百貨店やスーパー、食品メーカーなど消費者とかかわりの深い企業や消費者団体で組織する「国民生活産業・消費者団体連合会(生団連)」の設立を昨年末に呼びかけ、自ら会長に就任した食品スーパー最大手ライフコーポレーションの清水信次会長。産経新聞の取材では、2時間半にわたって政財界を痛烈に批判するなど、太平洋戦争の苦境を生き抜いた御年86歳の“ご意見番”は意気軒高だ。

■東電は更生法で再建を

 消費増税よりも東日本大震災からの復興、原子力発電所の停止に伴うエネルギー政策。清水会長は、これらを最優先に議論すべきだと訴える。

 《原発事故で苦境に陥った東京電力は公的資金1兆円の資本注入を申請し、実質国有化される》

 「今の経営陣は引責辞任し、会社更生法を適用して一から新しい姿で再建すべきだ。自助努力なくして原発停止を理由に、電気料金を上げるなんて身勝手なことは許されない」

 清水会長は声を震わせながらこう話す。

 《電力の供給不安が続く中、消費税率を平成26年4月に8%、27年10月に10%へ引き上げる法案が今国会に提出された》

 清水会長は、消費税を導入済みの世界各国で税率5%は最低ラインのため、将来的には増税の必要性を認める。とはいえ、「高税率の国々は複数税率制を採用しており、食料品や電気・ガスなどを非課税にしている国もある。民主党の政治家は、こうした内容を知らないで議論している」と批判。その上で、「国内総生産(GDP)や税収が落ち込む中、増税をすればダメージが大きすぎる。『政治生命を賭けて』今やるべきことは増税ではない」と異を唱えた。

■首相に「納得できず」と直言 

 《歴代の首相とやり合い、昭和60年代初めには当時の中曽根康弘政権が掲げた売上税(消費税)構想に対し、「『投網を掛けることはしない』と言っていたのに裏切りだ」と業界上げて反発し、断念に追い込んだ》

 政局について、「今の国会議員は国家百年の大計を考えるべきなのに、足の引っ張り合いや人の悪口ばかり。国家の体をなしていない」と怒りをぶちまけた。

 今年2月、清水会長は野田佳彦首相と2時間半、消費増税などをめぐって会談したという。

 「『財政危機だから増税が必要とする財務省の理屈は納得できない』とはっきり申し上げた。日本は、ギリシャやイタリアとは違って産業や資産がある。上から目線ではなく、国民と同じ目線で対話してもらいたい」と注文をつけた。野田首相は反論せず、「大平正芳元首相のように黙って僕の話を聞いていたよ」。

■求められる“将の将たる器”

 気炎は、菅直人前首相にも及んだ。「彼は彼なりに一生懸命やったが、専門家や各省庁に権限を与え、責任を取る立場に徹すべきだった。自分で何でもやろうとするから、局所しか見えなくなる。首相には、将の将たる器が求められる」と分析した。

 では、「将の将たる器」を持つ首相とはどんな人物なのか?

 清水会長は、消費税を導入した竹下登元首相とは激しくやり合ったものの、その後の親交は深かった。消費税導入後、竹下氏から自著が送られ、表紙をめくると達筆な筆跡でこう書かれていたという。

 「時に意見を異にすることもありましたが、お互いの人間関係は永遠のものでした。生涯の心の友として感無量です」

 清水会長は「こういうことを一国の首相が書いてくるんだよ」と、このときばかりはほおを緩めた。(藤原章裕)

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最終更新:4月22日(日)18時35分

産経新聞

 

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