メディアリテラシーの観点から言えばどのようなメディアの情報でも100パーセント信じるのも問題だが、信頼感が維持されなければ、ネットを身近な情報ツールとして活用することが難しくなる。
■広告主や事業者も関わる構造的な課題
よい口コミだけを欲しがる広告主と不正事業者の行為は、結果的に広告主の首を絞める行為だが、なぜ減らないのか。そこには口コミマーケティング業界に関わる構造的な問題が横たわるからだ。
口コミでプロモーションしようとする事業者は、扱うのが口コミだけに多数の書き込みと広告主への営業という人海戦術でカバーでき、新規参入が容易である。ソーシャルメディアには詳しくても、広告倫理や景品表示に関する知識が乏しく、無自覚なままステルスマーケティングを実施していることもある。
口コミは広告代理店の商品の一部として取り扱われることも多い。広告代理店はこれまでメディアを買う(テレビや新聞の枠に広告を掲載する)仕事をしてきた。その考えの延長でネットの口コミも「買える」と考える人もいる。また、テレビや雑誌のタイアップや番組中に製品を宣伝するプロダクトプレイスメントなど関係性をなるべく見えなくして自然に紹介するなど、以前から存在しているプロモーション手法をネットに持ち込むこともある。
広告主側にも問題がある。一番の問題は担当者がソーシャルメディアをやったことがないにもかかわらず「ソーシャルメディアで何かやりたい」と手がけたり、「いいことだけを書いて欲しい」「書き込み数を保証してほしい」といった結果を求めたりする。広報や宣伝部ではなく、事業部が直接取り組むケースではメディアや広告を扱う経験不足もある。
口コミが書き込まれるレビューサイトやQ&Aサイト、ブログ、交流サイト(SNS)などのプラットフォーム運営者は、一部を除いて対応に消極的だ。例えば、ヤフーは「Yahoo!知恵袋」に関するやらせの口コミに関して、以前の報道で指摘されながらも表立った対応はしていない。プラットフォーム運営者にとって、システム構築や膨大な書き込みのチェックには多大なコストがかかる。残念なことだが、レビューの健全性を重視しようとシステム改良や監視を行うサイトとそのままにしているサイトは、ユーザーから区別はつかない。
そして、情報を発信するユーザー自身にも問題はある。ブログの開設者のなかには、相手からお金や豪華なサービスを受けて良い口コミを書いていたり、アルバイトとしてレビューサイトの書き込みやタレントにサンプルを配ったりしている。無自覚に不正に加担している状況もある。
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