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「借り上げ仮設」国文化財指定へ 石巻の旧相川診療所

スレート葺きの屋根が特徴で、登録有形文化財に指定される見通しの旧相川診療所

 20日の文化審議会の答申で、国の登録有形文化財に指定される見通しになった宮城県石巻市北上町十三浜の旧相川診療所は、東日本大震災で、借り上げ仮設住宅となっている。4年前に診療所の役目を終え、今は被災した2世帯6人が暮らす。建築から半世紀を経て文化財となる建物は、まだ現役として新たな使命を果たしている。

 旧診療所は、薄く割った粘板岩を敷き詰めた「スレート葺(ぶ)き」の屋根が特徴。外壁は板張りにペンキを塗った形状で、へき地診療所の面影を残していると、歴史的価値が評価された。
 十三浜地区の自宅を津波で失った主婦菊地とみ子さん(62)は昨年8月上旬、旧診療所で暮らし始めた。待合室だった場所などを使い、家族4人で生活する。
 菊地さんは「まさか仮設住宅が文化財になるなんてね。ピンと来ない」と苦笑いする。
 旧診療所は木造一部2階建て、延べ床面積166平方メートル。1961年に開設され、地元住民の医療を一手に引き受けてきた。人口減に伴う患者の減少などで石巻市は2008年、診療所を廃止し地元企業に売却した。
 相川湾から約300メートルの高台にある建物は津波被害を免れた。住宅用に改装され、民間のみなし仮設住宅として活用されている。
 石巻市教委によると、屋根をスレート葺きにした住宅は耐久性に優れ、明治以降、「雄勝石」の産地として知られる雄勝地区から、河北地区など周辺に広まったという。市教委は「津波で壊れた家屋が多く、昔ながらのスレート葺きの建物は貴重だ。大切に残していかなくては」と話している。


2012年04月21日土曜日


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