デンマーク大手銀、ムーディーズとの契約解除に動く
4月19日(ブルームバーグ):デンマークの大手銀行は、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスとの契約の解除に動きつつある。各行は格付け会社が表明する意見には限定的な価値しかないとみており、この認識についてデンマーク最大の投資家の一部からも賛同を得ている。
国内最大の住宅ローン会社で、モーゲージ債権を裏付けとしたカバードボンド発行で欧州最大手のニクレディトは、ムーディーズの「不安定」な見解を理由に同社との契約を13日に打ち切った。ダンスケ銀行傘下で国内2位の住宅ローン会社、レアルクレディト・ダンマルクは昨年6月、ムーディーズに自社証券への格付け付与の依頼を取りやめると発表した。上場銀行で国内2位のユスケ銀行の財務責任者、スティーン・ニガールド氏によれば、同行もムーディーズとの契約解除を検討しているという。
ニガールド氏はインタビューで、「ムーディーズは公正さという点で一線を越えてしまった」と指摘。「私たちに不利な判断をすれば、怒って立ち去るということではない。ムーディーズの論拠にわれわれが絶対に同調できない基本的なことに関する問題だ」と語った。
ムーディーズは昨年6月、米国、ドイツに次いで世界3位の規模(4700億ドル)を持つデンマークのモーゲージ債市場について、資金調達と融資の期間のミスマッチに伴う借り換えリスクを抑制できないと警鐘を鳴らした。しかしそれ以降、同国で最も取引されているモーゲージ債で構成するニクレディトのベンチマーク指数は6.3%上昇し過去最高を更新。投資家が警告を軽視していることを示唆している。
ムーディーズの広報担当ジェシカ・シバド氏は18日の電話インタビューで、「当社の利害関係についてコメントしない」と語った。その上で、「デンマークのカバードボンドの枠組みは欧州で最も強固なうちの一つであると当社はみている。しかし2009年以降は発行体の信用力低下の影響を受けており、借り換えリスクが高まっている」と述べた。
原題:Moody’s Fired by Danish Banks as Investors SupportRebellion (2)(抜粋)
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更新日時: 2012/04/20 14:52 JST