ブックウオッチング:街の本屋さん 紀伊国屋書店広島店(広島市)
毎日新聞 2012年04月18日 東京朝刊
◇郷土の魅力、発信したい
瀬戸内に浮かぶ大崎下島(広島県呉市)がモデルの小島を舞台としたアニメーション映画「ももへの手紙」(沖浦啓之監督)が21日から全国で公開される。紀伊国屋書店広島店は映画キャンペーンの一環で作品に登場するキャラクターの大型パネルを展示。「美しい郷土の魅力と家族の絆が描かれた作品。書店として大いに盛り上げ、映像から本の世界への橋渡しをしたい」と期待している。
瀬戸内の小さな島に母と引っ越してきた東京育ちの「もも」。不思議な妖怪たちとの騒動や島の人たちとの交流を通し、父と母の愛情を知る−−。心温まるストーリーの映画は風光明媚(めいび)な瀬戸内の旅情にあふれ、観光PRに力を入れたい広島県は「広島県知事推奨」として応援。育児のため公務を随時休み「イクメン知事」と呼ばれる湯崎英彦知事は先月、ももの母親の声を演じる俳優の優香さんらと記者会見して映画の魅力をPRし、地元では早くも「ももちゃんブーム」に沸いている。
「本屋は単に本を売るだけでなく、ワクワク感を演出する場所にしたい。子どもさんがアニメをきっかけに本に触れるようになり、読書の体験を重ねれば大人になった時に大きな力になる」。そう考えた同店の秋田元二店長(51)は、文庫やコミックなど「ももへの手紙」関連書籍を刊行している角川書店に掛け合い、大型パネルを取り寄せた。