(CNN) ノルウェーで昨年起きた銃乱射事件で77人を殺害した罪などに問われているアンネシュ・ブレイビク被告が19日の公判で、ゲームを使って銃乱射の練習をしたと証言し、波紋を広げている。インターネット上には、ゲームを事件と結びつける見方に反発する投稿が相次いだ。
ブレイビク被告が練習に使ったと証言したのはシューティングゲームの「コール・オブ・デューティ・モダン・ウォーフェア2」。さらに、オンラインゲームの「ワールド・オブ・ウォークラフト」に1日16時間熱中していたこともあると述べた。
暴力的なゲームと実社会の暴力事件との関係を指摘する声は以前からあり、同被告の証言をきっかけに、改めてゲーム規制の強化を促す声が浮上する可能性もある。
一方、ゲーム愛好者などはこうした見方に反発している。米経済誌フォーブスに寄稿したコラムニストは「ノルウェーの大量殺人をゲームのせいにする愚かしさ」と批判、米誌タイムのオンライン版も「ノルウェーの殺人犯がワールド・オブ・ウォークラフトをやっていたことは、多分何の意味もない」という見出しの記事を掲載した。
臨床心理学者の観点からも、シューティングゲームが暴力を誘発するかどうかについての論議は分かれる。最近ではゲームと暴力の関係に疑問を投げかける研究結果も多数発表されているが、確固とした答えはない。
米シークレットサービスと教育省が2004年にまとめた調査報告では、学校内で起きた暴力事件24件について調べた結果、「暴力を振るった者の半数以上が、映画、ゲーム、書籍などのメディアを通じて暴力に何らかの関心を示した。しかし暴力への関心の持ち方に共通性は見られず、さまざまな形態があった」と結論付けている。