住宅地として人気の高い、東京都世田谷区や杉並区。
今、家主が不在で放置されたままの空き家が増え、ゴミの不法投棄、火事の危険など、付近の住民の暮らしを不安に陥れている。
この10年で東京都内の空き家はおよそ1.5倍に増え、10万戸を超えている。
こうした“迷惑空き家”はなぜ放置されているのか。
それは“迷惑空き家”の問題に、行政がお手上げだからだ。
住民たちが区役所に苦情を訴えても、私有地のために、家主の許可がなければ木一本さえ切れないという。
それでは“家主”はどこへ行ったのか。付近の住民は誰も答えられない。
地縁が崩壊し、家主の所在はおろか、以前の暮らしぶりもまるでわからないのだ。
区役所を訪ねると「“消えた家主”を捜して欲しい」という住民からの通報は、年間200件にも上っていた。
しかし、区役所が戸籍などから家族に連絡しても「どこへ行ったか知らない」「関わり合いたくない」と、血縁の薄まりによって家主に辿りつけないケースが多いという。
追跡チームは“消えた家主”の消息を徹底的に追う。
その足取りから、地縁・血縁という人のつながりが希薄化した現代の東京の現実を浮き彫りにする。