内閣府の原子力委員会の専門部会は10日、原子力施設を狙ったテロを防ぐため、施設内で働く作業員の身元調査の導入を政府に求める報告書案をまとめた。日本では個人情報保護の観点から見送られてきたが、原子力を利用する主要国で唯一未導入といい、4月に発足する原子力規制庁を中心に検討を求める。
身元調査をめぐっては、経済産業省の審議会が2005年に議論したが導入検討を見送った。現在、原子力施設での作業は、不正を防ぐため2人1組で実施するなど、電力会社の自主的取り組みに任されている。
だが、東京電力福島第一原発では、非常用電源や電源設備などが震災の津波被害を受け、テロ攻撃の対象となりかねない原発の脆弱(ぜいじゃく)性が浮き彫りになった。また、事故後の復旧作業では下請け会社の作業員10人の所在がわからず、本人確認の甘さも明らかになった。