ここから本文エリア

現在位置:朝日新聞デジタルマイタウン新潟> 記事

「100ベクレル以下」でも厳重管理

2012年04月20日

写真

ドラム缶に入れられ、保管される低レベル放射性廃棄物=19日、柏崎刈羽原発

 東京電力は19日、柏崎刈羽原発内で出た低レベル放射性廃棄物の管理方法を公開した。同原発では再利用が認められている1キロあたりの放射性セシウムが100ベクレル以下のゴミもドラム缶に入れて厳重に管理し、搬出後もコンクリートや土で外に漏れ出さないようにしている。長岡や新潟など県内5市は同100ベクレル以下の震災がれきを受け入れる考えだが、その焼却灰をどう管理するのか、より分かりやすい住民への説明が求められそうだ。

     ◇

 公開されたのは、柏崎刈羽原発内で放射性物質が付く可能性のある「放射線管理区域」から出た低レベル放射性廃棄物のうち、針金やスプレー缶などの燃えないゴミの処分方法。

 ゴミはまず、ポリ袋に入れられて「固体廃棄物処理建屋」へ。ポリ袋から出し、手袋やマスクをした作業員がドラム缶に詰め込む。ゴミのかさを減らすため、切ったり、圧縮したりすることも。ドラム缶の中身が動いたり、漏れ出したりするのを防ぐため、砂とセメントを混ぜたモルタルを流し込んで固める。

 ドラム缶はコンテナに積まれ、青森県六ケ所村の「低レベル放射性廃棄物埋設センター」へ運ばれる。

 1キロあたりの放射性セシウムが1千億ベクレル以下の低レベル放射性廃棄物については原子炉等規制法で地下数メートルに埋め立てできるとされている。六ケ所村のセンターでは土を掘ってドラム缶を入れ、周囲をコンクリートで固め、放射性物質を吸着しやすい土をかぶせるという。

 同法で再利用してもよいとされている同100ベクレル以下のゴミも扱いは同じ。東電の担当者は「柏崎刈羽原発では、100ベクレル以下でも原発内で汚染されたゴミはすべて低レベル放射性廃棄物として厳格に管理することになっている」と話す。

 手袋や作業服など、放射性物質がわずかに付着した燃えるゴミは、洗濯をして何度か使った後、原発内で燃やしてドラム缶に保管される。処分方法は決まっていないが、東電の担当者は「燃えないゴミと同様、モルタルで固めて処分することになるのではないか」と話している。(富田洸平)

     ◇

【知事が「安全確認」発言を批判】

 震災がれきの受け入れを表明した5市のうち、長岡、柏崎、三条各市の市議や担当者らが宮城県女川町のがれき処理場を視察した際、「安全を確認した」との発言が相次いだことについて、泉田裕彦知事は19日の記者会見で「外部被曝(ひ・ばく)と内部被曝を理解しているのか。これで安全だと説明されると、市民がちょっとかわいそうだ」と批判した。また、5市が表明している処理方法について「懸念、リスクがあると言わざるをえない」と述べた。

 3市の市議らは、18日に女川町のがれき処理場で、がれきやその周辺の空間放射線量を測っている様子などを視察。複数の参加者から「安全だと分かった」「搬出までは安全」などの声が上がっていた。

 知事は、焼却すると放射性物質が濃縮されることに懸念を示し、「内部被曝や長期の低線量被曝について(体に)どういう影響を与えるのかは国際的にも合意はない」と指摘。「排水に溶けたり、環境中に出たりすることを心配しているのに、空間放射線量を測って安全です、というのは知識に問題があるのでは」とも語った。(水野梓)

PR情報
朝日新聞購読のご案内

ここから広告です

広告終わり

マイタウン地域情報

ここから広告です

広告終わり