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【神奈川】給食食材からセシウム検出→使用せず 武蔵野市や愛知・春日井市
放射性セシウムの検出されたミカンが十六日から川崎市立小学校の給食に出されている問題で、東京都武蔵野市や愛知県春日井市などでは放射性セシウムが検出された場合、給食に使わない措置を取っていることが、本紙の調べで分かった。川崎市とは対照的な姿勢だ。 (山本哲正) 武蔵野市は昨年十月、牛乳に一キロ当たり七ベクレルを検出。当時の暫定基準値(同二〇〇ベクレル)以下だったが、「子どもは大人より影響を受けやすい。少しでも検出したら、代替できるならする」と、給食に出さなかった。保護者が負担した給食代のうち、この牛乳の分は、市が補填(ほてん)した。 春日井市は今年二月、一キロ当たり一六・六ベクレルが検出された脱脂粉乳を「国の基準値以下だから」と、給食に使おうとしたが、保護者から問い合わせが相次ぎ、使用を見合わせた。 一方、川崎市教委は一キロ当たり三・八ベクレルが検出された県産ミカン缶詰、同九・一ベクレルが検出された県産冷凍ミカンについて「文科省が基準値を下回れば安全と言っている。保護者の考え方で食べない子は食べなくてよいが、国の基準値(一般食品で同一〇〇ベクレル)を下回ったのだから、給食に出す」(給食担当者)と断言している。使用中止を求める保護者もいるが、市教委は「『基準値の十分の一以下だから安心して食べさせる』という保護者の意見が寄せられた」と強調している。武蔵野市方式でミカン購入費を補填するのも「無理」という。 県教委は、県内で国基準値を下回る食材の取りやめは「把握できる限りは、ない。判断の難しい問題だ」としている。 ◇ ◇ 保護者への広報体制にも疑問が残る。川崎市のホームページには給食の食材の産地が載っており、市教委は、各校校長に、そのことを保護者に伝えるよう求めた。「関心のある人は、そのページに並んでいる検査結果の項目をクリックすると見られる」から「保護者に分かるようになっている」というのが市教委の説明。これ以上、積極的に広報する姿勢はないようで、保護者から怒りの声も上がっている。 こうした中、中原区のある小学校は、ミカンからの検出値を明記し「学校としては個々の家庭の判断を尊重し、食べたくない児童に一律に食べさせることはないので、担任に申し出て」という文書を配った。同校四年生児童の母親(42)は「教えてくれる学校で良かった。子どもと話し合って、判断を任せたい」と、話す。 ただ、現場教師は、給食に出したものを「食べなくていい」と言わざるを得ない矛盾した状況に置かれており、市教委の姿勢が問われそうだ。 PR情報
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