福島第1原発は非常に危険 米議員が燃料棒について警鐘


福島第1原発の状況はどのくらい危険なのか。4月に視察を行った米上院エネルギー委員会の有力メンバー、ロン・ワイデン議員によると、非常に危険だという。

Associated Press
福島第1原発4号機

ワイデン氏は藤崎一郎駐米大使にあてた16日付の書簡で、同原発の原子炉建屋が再び地震や津波に見舞われれば、崩壊し、「当初事故よりも大規模な放射性物質放出」が起こる恐れがあると警鐘を鳴らした。

特に、日本は動きが遅く、危険な核燃料棒を原子炉から取り出していない。米国はスピードアップに向けた支援をすべきだ。ワイデン氏は藤崎氏のほか、スティーブン・チュー・エネルギー長官、ヒラリー・クリントン国務長官、 原子力規制委員会(NRC)のグレゴリー・ヤツコ委員長への書簡でもこう訴えている。

東京電力の広報担当者は書簡についてコメントできないと述べ、同社としては行程表を着実にこなすことしかできないと説明した。外務省はコメントを控えた。

福島第1原発では、昨年3月11日の地震や津波による停電を受け、原子炉3基でメルトダウンが起こった。同3基の核燃料の多くは溶けて圧力容器の下にたまっていると考えられている。悪い状態だが、少なくとも容器が放射性燃料と外の世界を隔てている。

ただ、事故のとき保守のため閉鎖されていた4号機では、核燃料棒はこうした容器の中ではなく、屋上のプールに保管されていた。この「使用済み燃料プール」の水が、燃料棒を低温に保ち、外の世界から遮断しているのだ。しかし、水が漏れたり、地震でプールが崩壊したりすれば、この燃料すべてが外の空気にさらされ、過熱し、大量の放射性物質を放出するだろう。他の原子炉にも使用済み燃料プールはあるが、量は比較的少ない。

東電によると、4号機のプールを分析し、建屋を補強する必要はないとの結論に至ったが、補強を行って安全余裕(耐震強度)を2割高めた。できるだけ早期の燃料棒取り出しに向けて動いているという。すべてが行程表通りに進めば、14年に作業が始まる可能性がある。

ただ、ワイデン氏によると、この日程は使用済み燃料をすべて取り出す作業に最大10年を当てている。同氏によれば、あまりにリスキーな長さだ。

同氏は藤崎氏あての書簡で、「この日程は、また重大な地震関連の事象が起こると考えた場合に、甚大で継続的なリスクをはらんでいる」と警告。「同原発の本当の地震リスクに対する過小評価は深刻であり、未解決のままだ」としている。

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コメント (5 / 23)

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    • これ日本人皆わかってることだと思うなあ。ただ、知らないふりしてるだけ。

    • 廃止はよいと思うが、それで福島の問題が解決終息したことにはまったくならない。
      これから長い戦いがはじまる。
      ところで、現地の自治体は、やたらと被害者としての顔を強調するが、原発のおかげで潤ってきた(補助金、特別な税金等々)、みんなこれのおかげで分不相応なぜいたくをしてきたということもはっきりさせてほしい。
      離れた村とかは純粋に被害者でよいけどね

    • 福島第一原発の1~4号機は電気事業法ではきょう付けで「廃止」となるそうですが、廃止にするなら完全に安全にしてからにしていただきたいと思います。今なお数千万ベクレルの放射性物質を出し続けておいて、「収束」を謳うのは世界中にバカにされるというよりも頭の構造が訝られるでしょう。ましてやこの地震国で、過去の保安基準によるものばかりで、新たな安全対策が完全でない他の原発を再稼動させるなど、日本の民度の低さと「科学的知見」の無さを宣言するようなものです。ここまで世界中の大問題になってしまった以上、少なくともこの4つを完全に「廃止」できるまでは原発の再稼動はあり得ないのではないでしょうか。

    • 「非常に」 が明らかに主観だ。
      地震や津波が起きた場合、外にあるもののほうが炉内にあるものより冷却しやすい。
      民主党の Ron Wyden とやらが、どれほど自然災害と建築と放射性物質に精通しているか記事に書かれていない。
      が、現場から離れて見た外国議員が 「非常に危険」 など、扇動的な、しろうと発言もいいところだ。
      米国の議員というのは 「非常に」 目立ちたがりで、議員の存在の誇示のためにあらゆる活動をすることが地球的に知られている。
      実際、航空機へのマッチ持ちこみ規制やスパム規制を訴えるなど、記事検索すると、その活動に一貫性が無い。
      それを真に受けて、さも専門の危機情報であるかのごとく記事をばらまく日本の報道各法人が、おめでたい。

    • 自営業をしていますが、毎日今日もがんばろうと思いつつも、もし明日地震起きたら全てを失い、もう一度立ち上がることが出来るだろかという不安定な毎日を過ごしています。
      国や東電からの発表は、信じられず、もう一度地震が起きたら間違いなく日本全体が放射能汚染となり東京直下型のシミュレーションが話題となっているけれど、いまの福島の原発事故を完全に封鎖する事に全力で取り組むことを最優先すべきと思います。












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