お気に入り登録
|
ログイン
|
ブログを作る!(無料)
投稿内容
タグ
ブログタイトル
ウェブ全体
IE9ピン留め
トップ
世に倦む日日
critic5.exblog.jp
本と映画と政治の批評
by thessalonike5
アクセス数とメール
since 2004.9.1
ご意見・ご感想
最新のコメント
支配者の思惑はネオコン型..
by ろうのう at 00:03
尖閣を巡る主権争いに、中..
by haku at 22:00
>尖閣のTLを恐る恐る見..
by ゆたか at 03:37
>あの辺りから、本当に、..
by とらよし at 02:28
小泉から今まで失政を隠す..
by ろうのう at 16:31
大飯原発再稼働で橋下が..
by medemensen at 01:38
早速、昨日(4/16)..
by Areopagitica at 01:24
上に書いた、子どものころ..
by nyckingyo at 00:18
>西川一誠は、昨年からず..
by ゆたか at 00:06
最新のトラックバック
去勢された巨大アメリカ ..
from NY金魚
以前の記事
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
more...
since 2004.9.1
XML
|
ATOM
skin by
thessalonike5
石原発言の政治 - 東郷和彦の尖閣論と知識人の無言
保坂正康と東郷和彦の共著で『日本の領土問題』という新書が出ている。あるとき丸善のアオゾ店で買い、特に書評に値する価値もないので一読したまま放っておいた。第3章に掲げられた章題が「武力衝突の危険をはらむ尖閣諸島問題」というもので、東郷和彦は、昨年、船長を即時釈放しなかった菅内閣の対応を厳しく批判、日中共同での尖閣諸島でのエネルギー資源開発を提案している。「私は、民主党政権が、たとえ無様な姿であっても船長の釈放という形で事態を旧に戻さなかったら、何度目かのステップには、かならず軍艦が出てくるだろうと思った。軍艦は、当初は威嚇のために出てくる。しかし、その威嚇が効果を持つためには、万一の場合は撃つということでなくてはならない」(P.140)とある。2年前の漁船衝突事件のとき、私も同じ展開を予想したし、菅直人も同じ判断をして、事態がエスカレートしたギリギリの段階でようやく船長を釈放した。東郷和彦は、これは民主党政権が日中外交に未熟だったために起きたものだと言い、自民党政権なら即釈放しただろうと言っているが、そんな指摘は誰も信用しないだろう。タカ派の自民党政権なら、逆に東郷和彦が予想したとおりの破局に至っていたはずだ。右翼系の産経文化人ではあるが、東郷和彦は尖閣問題での日中衝突を回避すべきという立場であり、外務官僚のメインストリームの立ち位置にある。
私は、昨年からずっと日中戦争の危機を言い続けていて、開戦の可能性が高いことを警告し続けている。サイバー戦の応酬は武力衝突の前哨戦だとも言ってきた。どれほど訴えても、こうした危機感が広く共有されず、誰もリアルなイマジネーションを持たないことに憂鬱を感じている。中国は、すでに日本が外交対話が通用しない相手だと悟っている。日本が、中国との戦争を前提し予定した政治に動いている真実を認識していて、それに対して国益の防衛で対処する構えに切り換えている。どれほど中国が外交で日本と関係改善の努力をして、中日友好の原点に戻そうとしても、日本国内の右翼ファナティシズムはそれを逆手に取るだけで、奏功することなく逆効果にしかならず、中国国内を不安定にするだけなのだ。日本国内は右翼のイデオロギーに支配された状態にあり、マスコミも反中反共プロパガンダの増幅をするしか商売の方途がない。右翼に迎合して関係悪化を加速させるしかない。発狂している。経済利害ではなくイデオロギーの論理が先行して中国との関係が決せられる。日本の右翼勢力には政治の目標があり、その第一は中国ではなくて国内の左翼の撲滅なのだ。彼らにとっての左翼、すなわち日本国憲法の体制である。この目的のために中国や北朝鮮との関係を利用しているのであり、国内の目的のための手段であり、国内を動かす道具であり材料なのだ。
だから、どれほど中国が外交関係の手を尽くしても、外交や経済の論理で日本の国内が理性的な認識や打算に戻るということはない。中国はその事実を2年前の漁船衝突事件で思い知り、対日関係をリアル・ポリティックスの方向へと一段とシフトさせた。今年、中国中央テレビが尖閣問題について積極的に報道するようになったとNHKのニュースが伝えていたが、これまで、なるべくこの問題で中国国内に反日ナショナリズムの世論が過熱しないように抑制していた中国政府が、少し態度を変え、日本の中国侵略に注意を喚起する姿勢になっている。これは、軍事的な問題解決に腹をくくっている証拠だ。やむを得ないという判断だろう。また、両国の経済的立場が逆転して、嘗ての「政冷経熱」を踏まえた「戦略的互恵関係」に至ったときのような、中国側に失うものが多くあった時代とは異なるという自信が背景になっている。指導部の交代もある。竹島問題の日韓関係を見ながら、日本の劣化と地位低下が著しい状態を見据えている。建国以来、中国はこれまでずっと、四辺で国境紛争を続けてきた歴史がある。インドと、ソ連と、ベトナムと。ソ連との武力衝突は核戦争まで覚悟した戦争で、国家の存亡を賭けた戦争だった。国境紛争は、外交の次は軍事を手段にし、その後で外交で解決してきた経験を持つ。この点について、日本のマスコミの大勢はあまりに見極めが甘く、武力衝突後の展開について想像力を持っていない。
石原慎太郎は、今回、自分が起こした騒動に中国が反発したことに対して、「半分くらい宣戦布告」だと言い返し、国内の右翼を喜ばせた。この言辞を見て、北朝鮮と同じだと思ったのは私だけだろうか。北朝鮮は事あるごとに、「宣戦布告と見なす」を常套句として使う挑発を繰り返す。その未熟で幼児的な態度は、北朝鮮への軽蔑を国際社会の中でコンセンサスにする。アジア諸国の人々は、石原慎太郎の「宣戦布告だ」の発言に対して、どのような感想を持ったことだろう。結局、日本は北朝鮮と同じ矮小な国になり、北朝鮮程度の劣化した国になったということなのだ。今後、日本が尖閣にどのような措置を行ったとしても、それに対して中国が、「宣戦布告と見なす」などという過激な脅し文句で応じることはないだろう。東郷和彦が予測するように、粛々と主権防衛の動きに出て、粛々と安全保障を遂行し、粛々とP5の一国として国連の場で問題を終端させてしまうだろう。中国の断固たる行動に対して、米国は協調路線で応じるしかなく、最後は西太平洋全域を明け渡すという決断を迫られるだろう。中国を相手にした戦争は不可能なのだから。米国の戦略にとって、東アジアはすでに利益を吸い尽くしつつあるドメインであり、「金の成る木」から「負け犬」へとポートフォリオをチェンジさせている領域なのである。今、「スター」のポートフォリオは東南アジアなのだ。米軍が自衛隊と共に東シナ海で中国軍と戦闘するという図はあり得ない。
もし、米軍が日本のために尖閣を守る戦争に参加するのなら、そして、中国軍を撃退するか沈黙させることが容易なら、東郷和彦がこのような提案をするはずがないではないか。私は、尖閣について、将来的に中国が実効支配する可能性が高いと考えている。その理由は、日本の右翼勢力の目的が尖閣の保全ではなく、日本国内の体制転覆(改憲と赤狩り)にあり、中国との軍事衝突を歓迎しているからだ。私から見て、日本の右翼は、領土を守れ守れと叫喚しながら、実際には領土保全にきわめて無責任かつ無関心で、結果的に、政治的に領土を奪われるような方向にのみ日本外交を導いている。中国との軍事衝突があってもなくても、右翼が対中外交を振り回す状態が続く以上、尖閣の実効支配はきわめて危うくなると言わざるを得ない。その証拠を一つ挙げよう。東シナ海の海底ガス田だ。すでに中国側が掘削を始めている。20年前、東シナ海の海底ガス田が、まさか20年後にこんな状態になると誰が想像しただろう。悪くても日中で半々、良ければ日本6の中国4で決着するだろうと思っていた。現状、中国に独占されたも同然になっている。そのことについて、政府も右翼も何も文句を言っていない。黙認している。黙認して今度は尖閣で吠えている。冷静に正視すれば、日本は尖閣諸島の北方に広がるガス田の版図を失っているのだ。事実上の国境線が南下しているのである。その間、何があったかと言うと、2002年の小泉純一郎の靖国参拝があった。
2005年の反日デモがあった。2008年のチベット反中デモがあった。そして2010年の漁船衝突事件があった。こうして、10年の間に、右翼は日本国内の左翼潰しに成功し、国内のイデオロギーを反中反共で固めることに成功しているけれど、純粋に日中の領土問題だけを見ると、中国側に着々と既成事実を固められ、権益(経済水域と海底資源)を奪われ、それを交渉で取り戻すことを困難にさせている。ガス田交渉を前進させられない。経済的にも、中国にとって日本は不可欠のパートナーではなくなり、年を追って重要性が低い国になっている。従来の立場とカードを失っている。中国は、日本が日中平和友好条約を事実上破棄し、右翼ファナティシズムの刺激で中国国内を揺さぶる動き(共産党政権崩壊の策動)に出た報復として、東シナ海の領土問題で対抗措置に出たのである。外交カードを切ってきたのだ。おそらく中国側は、軍事衝突の後の米国裁定による中国(台湾)の実効支配という絵を、すでに将来像のシナリオとして描いているだろう。日本は米国の属国であり、日本は米国が中国と取引する際のカードである。中国から何かを引き出すために、例えば人民元の切り上げを容認させるために、尖閣諸島を米国が中国に引き渡すなど造作もないことだ。70年前、米国はそのようにして千島列島をスターリンに売り渡し、ソ連軍の対日参戦を得る取引をした。右翼の狂躁に洗脳されている者は、早く目覚めて、産経文化人たる東郷和彦のディプロマシーの常識と提言に即くべきなのだ。
最後に、この問題をめぐるTwitterのTLについて。私は、4/17夜のTweetでこんなことを言っている。「こういうツイートを発するだけで、勇気が要ると言うほどではないが、もう相当に精神に負担がかかる」と。Twitterでは、キーワード検索をかけて流れるTLを見て、ネット上の議論をチェックすることができる。案の定、TLは右翼の怒声と狂気で溢れていた。思うのだ。Twitterをやっている人間は何人もいる。池田香代子がいる。上野千鶴子がいる。本田由紀がいる。江川紹子がいる。福島瑞穂がいる。湯浅誠がいる。こういう有名人は、フォロワー数が多く、何かTweetすれば、すぐにRTが入りキーワード検索をかければ上位に飛び出る人気Tweetとなる。無名の者が言っても泡沫として流れるだけの主張を、ネットの言論に参加する多くの者の代弁として掲げることができる。知識人の使命は代弁することだ。まさか、池田香代子や上野千鶴子や本田由紀が、石原慎太郎の尖閣買収発言を支持しているとは到底思えない。最低でも、朝日新聞や毎日新聞の社説ほどの反応の気分は持っているだろう。ところが、彼女たちは何も言わないのである。そこで何の反論も上げず、石原慎太郎の暴言に憤慨している市民の意思を代弁しようとしない。憂鬱になるのはその点だ。ウォルフレンは知識人についてこう言っている。「知識人は、政治問題を詳しく説いてもらうために最も必要とされるのである。(略)権力を保持する者がその支配下にある万人を災難に追い込んだりしないよう取り計らううえで、知識人こそ我々の持てる最大の希望である」と。
私から見て、池田香代子も上野千鶴子も本田由紀も知識人とは言えない。石原慎太郎の尖閣発言は、まさに「万人を災難に追い込」む政治ではないか。
by
thessalonike5
|
2012-04-20 23:30
|
Trackback
|
Comments(
0
)
トラックバックURL :
http://critic5.exblog.jp/tb/18166331
トラックバックする(会員専用)
[
ヘルプ
]
名前 :
URL :
非公開コメント
※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。
削除用パスワード
昔のIndexに戻る
福井県の専門家委の正体をめぐる... >>
ブログパーツ