中国の貿易業者たちが北朝鮮との取引でしばしば代金を踏み倒され、複数の業者はデモなど様々な手段で借金返済の催促していると、中国の経済観察報が16日付で報じた。一時期、対北朝鮮貿易はドル箱だった。遼寧省丹東には軍人用の綿入りの外套に、綿の代わりにビニールで包んだ揚げ菓子を入れて国境を越えさえすれば、すぐ4倍の利益が取れると言う話が広まっていた。
中国人の王旭明さんは、この誘いかけにはまり、20年前から北朝鮮との貿易を始めた。内閣傘下の国営企業である「朝鮮光明(クァンミョン)商社」と貿易取引をしたが、代金はもらえなかった。1990年代半ば、王さんは借金を返してもらうため、8ヵ月間、平壌(ピョンヤン)と丹東を行き来した。毎日平壌の内閣建物の正門で光明商社社長を訪ねたが、社長はいつも席を外していた。ある日、王さんは許可も得ずに内閣建物の中に駆け込んで社長を見つけたが、すぐ警備員に連れ出されたという。
この手あの手を使っても効果がないと、王さんは同じような経験をしている中国人の業者たちと一緒に内閣建物の前でプラカードを掲げて抗議デモをした。プラカードを掲げるや否や、人民軍に囲まれては阻止された。この騒ぎから数日後、朝鮮光明商社から「1万5000ドルを持って帰れ」という連絡があった。また、早期の出国を促し、帰国の車まで用意してくれたという。王さんは、「基本的に踏み倒された代金の全額はもらえないし、少しでももらえれば増しな方だ」と話した。
北朝鮮では、会社の建物に勝手に入れないし、取引先が携帯の番号はもちろん、事務室の電話番号まで隠すことが多く、踏み倒されるともらえる手立てがない。また借金を返してもらうための訪朝の場合、ビザ申請に必要な招請状の発給を渋るという。
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