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3度あった停電の危機

WEDGE 2012年04月13日掲載) 2012年4月13日(金)配信

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これらの工場は、高付加価値製品を製造している場合が多く、日本経済の文字通りの「心臓部」に当たる。それらが海外移転することによって生じる産業空洞化は、「日本沈没」に直結するほどの破壊力をもつ。

 その影響は、現存する工場の海外移転だけにとどまらない。もともと国内に新増設する予定だった工場を、海外工場建設に置き換える投資計画の変更もあいついでいる。むしろ、このような「機会損失」の方が、日本経済により大きな打撃を与えていると言えそうである。

■ブラックアウト寸前の事態も

 産業空洞化につながるような、明らかな電力供給不安が、すでに3回起きている。

 昨年、東京電力が行った計画停電4日目の3月17日の朝方に、ブラックアウト寸前の最大の危機が訪れた。当時の東京電力の供給力は、他社からの融通分も含めて3350万kW。一方、同日午前9〜10時の最大需要は3330万kWに達し、予備率わずか0.6%。大停電が起きてもおかしくない切迫した状況が、現実に発生した。この日は、海江田万里経産相(当時)が緊急記者会見を開いて大規模停電回避のための節電を呼びかけ、それにこたえて電車の運転本数が夕方から削減されるなどして混乱した。

 昨夏においては、豪雨の影響で多くの水力発電所の運転が停止した東北電力の管内で、8月上旬に危機が発生した。東北電力自前の予備率は、5日はマイナス1.5%、8日はマイナス7.5%、9日はマイナス9.1%にまで落ち込み、他社からの融通を受けて、5日は3.6%、8日は3.9%、9日は4.6%の予備率をかろうじて確保した。東北電力自前の予備率は、昨年8月を通じて9日間にわたって安定供給上の下限とされる3%を下回り、他社融通による綱渡りに失敗すれば、計画停電のおそれもあった。8月上旬の東北電力への電力融通では東京電力が中心的な役割を果たしたが、当時は、東京電力の柏崎刈羽原発の5、6、7号機が稼働中であった。

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