「残酷な人種差別攻撃は世界の恥」

「多文化人材は韓国の重要な人的資源」

多文化家族支援センター長、オ・ユンジャ慶煕大学教授

 「国会議員当選者のイ・ジャスミン氏に対する人種差別攻撃は非道な行為。国際的にも恥だ」

 2006年からソウル市東大門区の多文化家族(国際結婚家族)支援センター長を務めている慶煕大学オ・ユンジャ児童家族学科教授(写真)は、韓国に移住した外国出身者で初の国会議員当選者となったイ・ジャスミン氏に対する「ゼノフォビア(Xenophobia=外国人嫌悪症)」が警戒すべきレベルを超えていると警鐘を鳴らした。「東南アジア諸国出身というだけで同氏を排斥し、人身攻撃的な非難を浴びせるのは、グローバル化時代に逆行するもので恥ずべき為だ」と指摘している。

 オ・ユンジャ教授は「フィリピン出身で、既に韓国籍を取得しているイ・ジャスミン氏が比例代表に選出されたのは、多文化というバックグラウンドを持つ人物も韓国の人的資源構成において重要な軸だという象徴的な意味合いが大きい」と述べた上で「イ・ジャスミン氏が議員として活動する前から一方的に非難され、萎縮しているのは非常に懸念すべきこと」と指摘した。さらに「イ・ジャスミン氏が11日の国会議員総選挙で比例代表により当選し、国会に進出することについては、今後同氏の議員活動を見守り、客観性・公正性を持って評価すればいいことで、議員として活動する前に同氏が偏狭な政党政治の犠牲になるとしたら、それは韓国の国際的なイメージにも悪影響を与える」とオ教授は述べた。

 また「外国出身者という特殊性と、韓国国民の1人であるという普遍性を受け入れられない社会は、真の先進文化国にはなれない。少数でも多数でも、その社会の構成員の多様なニーズを反映し、彼らの権利を認めてこそ正当な民主社会であり、それが国際社会の基本倫理」とも主張した。

 その上で「イ・ジャスミン氏に対する非難は、一部にある外国人嫌悪の極端な例だが、その一方で多文化家庭や国際結婚に対し韓国社会が持つ偏見がそのまま反映されたものだ」とし「認識の転換が急務」と指摘した。すでに結婚により韓国に移住した外国出身者が20万人を超え、その子どもたちが15万人に達する中で、多文化は選択肢ではなく必須だというわけだ。

 オ教授は最後に「少子・高齢化時代、韓国社会の産業人材や結婚難を外国人の受け入れなしに解決できるだろうか。貿易国である韓国で起きているこうした実態を、国際社会がどのように見るのかも、冷静に考えて受け止めなければならない」と語った。

李智恵(イ・ジヘ)記者
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