米国のオバマ大統領は先月23日、韓国系のジム・ヨン・キム(韓国名キム・ ヨン)米ダートマス大学長を世界銀行の次期総裁に指名した。
オバマ大統領によるキム学長指名は、米国はもちろん、韓国でも高い評価を受けた。キム氏は5歳のとき米国に渡り、米国市民権を保有する韓国系米国人だが、私たちは韓国国民が指名されたかのように喜び、祝いの言葉を送った。米国社会も「移民1.5世代」のキム氏がアジア系で初めてアイビーリーグ(米東部の名門私立8大学)大学の学長に就任したのに続き、世界銀行トップに指名されたことを祝った。医師のキム氏が世界銀行の開発業務をきちんと遂行できるのかという指摘が一部であったものの、オバマ大統領がアジア系を推薦したことについては、全く論争が起きなかった。
今、韓国ではこれと正反対のことが起こっている。結婚で韓国に移住し、今月11日の国会議員総選挙で与党セヌリ党の比例代表で当選したイ・ジャスミン氏は選挙後、インターネット上で非難にさらされている。ツイッター(簡易投稿サイト)などでは、ユーザーたちが今月初めに起きた中国朝鮮族による20代女性殺害事件を取り上げながら、イ氏を指し「韓国のものを巻き上げる多文化の実体が明らかになった」「これから売買婚が増えるだろう」といったツイートを掲載し続けている。イ氏は総選挙で公約を全く掲げていなかったが、ネット上では同氏が移住者に大きな恩恵を約束したとのデマが広がっている。
イ氏は韓国人男性と結婚し、1998年に合法的に住民登録証を取得した。夫が2010年に死亡した後も、移住女性のための団体で事務総長を務め、ソウル市の公務員としても働いた。映画『ワンドゥギ』にも出演し、移住女性への関心を訴えた。こうした経歴のイ氏が国会議員になる資格を持っているのかと問うことは、検証の過程ではあり得るかもしれない。だが、最近ネット上で噴出している同氏への非難は、韓国国籍を取得した移住者に対する嫌悪感の表れにほかならない。
イ氏はれっきとした韓国の国民で、結婚により移り住んだ約20万人の移住者を代表して国会で活動する人だ。米国に移住した韓国系の活躍には拍手を送る一方で、韓国国籍を取得した移住者に対しては「外国人嫌悪」に近い偏見を露骨に示すというのは、世界トップ10に入る貿易大国としてあるまじき恥ずべきことだ。だが今、そんなことがこの国で起こっている。