東電新会長 下河辺氏が受諾4月19日 18時54分
1兆円規模の公的資金の投入を受ける東京電力を巡り、焦点になっていた勝俣恒久会長の後任の新しい会長ポストについて、弁護士で原子力損害賠償支援機構の下河辺和彦運営委員長は、19日、野田総理大臣から正式に就任要請を受け、受諾しました。
下河辺氏“西澤社長交代させたい”
政府は、東京電力の人事を刷新するため、勝俣会長の後任に弁護士で原子力損害賠償支援機構の運営委員長を務めている下河辺和彦氏を起用するため、19日、総理大臣官邸に下河辺氏を呼んで野田総理大臣が新会長への就任を正式に要請しました。
このあと下河辺氏は記者団に対し、「野田総理大臣から新生東電の会長に就任していただきたいと要請を受けた。野田総理には、要請を重く受け止め精いっぱい努力すると答え、受諾した。私の力の及ぶかぎり社員全員と力を合わせ陣頭に立って取り組んでいきたい」と述べ、東京電力の新会長への就任を受諾したことを明らかにしました。
下河辺氏は64歳。昭和49年に弁護士となり、平成19年には日本弁護士連合会の副会長に就任しました。また、東京電力の経営問題を巡っては、経営や財務状況を第三者の視点で精査する調査委員会の委員長を務めたあと、去年発足した原子力損害賠償支援機構の運営委員長を務めています。
焦点となっていた新会長の人事が内定したことで、東京電力と機構は1兆円規模の公的資金投入による資本増強などを盛り込む総合特別事業計画の策定を急ぐことにしています。
これについて下河辺氏は記者団に対し、「新生東電を新たにスタートさせるにあたって、現在の西澤社長を交代させたいというのが率直な気持ちだ。社長は東電の社内からと基本的に決めていて、関係者と早急に協議したい」と述べ、西澤社長を退任させるとともに、その後任の人事を急ぎたいという考えを示しました。
下河辺氏の経歴
下河辺氏は、会社更生法を申請した消費者金融大手の「ライフ」や「大成火災海上保険」など、さまざまな企業の経営再建に携わってきた経験があるほか、粉飾決算事件を起こした「ライブドア」の外部調査委員会の委員を務めるなど、企業のコンプライアンスにも精通しています。
こうした経験を買われ、福島第一原発の事故のあと政府が設けた東京電力の経営や財務状況を第三者の視点で精査する調査委員会の委員長に就任。そして、原子力損害賠償支援機構が設立された際には、引き続き機構の運営委員長を務め、東京電力の総合特別事業計画の策定に一貫して携わってきました。
枝野経産相“東電を適切な方向に”
下河辺氏が東京電力の会長就任を受諾したことについて枝野経済産業大臣は記者団に対し、「熟慮した結果、下河辺氏に新会長を引き受けていただくことが最も適当ではないかという結論に至った。先ほど、野田総理大臣から下河辺氏に対して政府として新会長を引き受けてほしいと要請し、お受けしますという返事を頂いた。厳しい状況を十分踏まえたうえで、使命感を優先して決断いただいたものと考えている」と述べました。
そのうえで枝野大臣は、「下河辺氏は、とりわけ東京電力に経営合理化を厳しく迫ってきた人であり、被害者の立場に立った親切な賠償、国民の目線に立った事業計画の重要性について誰よりも問題意識を持っている人だ。下河辺氏のリーダーシップと情熱で、新しい東京電力を適切な方向に導いていただけるものと考えている」と述べました。
東電“再建に力”
東京電力は、原子力損害賠償支援機構の下河辺和彦運営委員長が新しい会長への就任要請を受諾したことについて、「原子力損害賠償支援機構の運営委員長などとして当社の事業や経営状況を把握しており、今後、再建に力をふるっていただけると思います。新たな経営体制については、今後、新会長と協議してまいります」というコメントを発表しました。
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