「夏場などに、糖分を多く含む清涼飲料水や缶コーヒーを大量に飲むことで、血糖値(血液中の糖分の濃度)が急上昇し、最悪の場合、こん睡に陥って救急車で運ばれるケースがあります。
これは、『ペットボトル症候群』と呼ばれる急性の糖尿病の一つで、10代~30代の男性に多い」と話すのは、糖尿病専門医で、大阪府内科医会会長の福田正博(ふくだ・まさひろ)先生。
詳しいお話と、「砂糖の取り過ぎを避けるためのお勧めのドリンク」について伺いました。
■ドリンク500ミリリットルに、角砂糖が12個以上も
福田先生は、炭酸飲料などに含まれる糖分の量と、その体への影響について次のように説明します。
「ペットボトル症候群は、大量の糖が一気に体に入ることで一時的にインスリン(すい臓から出る血液中の糖をエネルギーとして筋肉などで燃焼させるために不可欠なホルモン)不足に陥り、血糖値が急上昇することで起こります。
一般的な炭酸飲料の多くには約10%程度の糖分が含まれています。500ミリリットルのドリンクなら50グラム、角砂糖(1個4グラム)に換算すると、実に12個以上が入っていることになります。
健康飲料と思われるスポーツドリンクでも角砂糖7~8個分が含まれているものもあります。
スポーツ時や夏場なら、のどの渇きに応じて一気に1リットルほど、毎日2~3リットルを飲む人がいますが、これは危険です。
また、ペットボトル症候群のような極端なケースでなくとも、習慣的に清涼飲料水を多く飲んでいると、『尿の量が増え、トイレに行く回数が増える』、『やたらとのどが渇く』などの症状が出ることがあります。そのためにさらに清涼飲料水を飲むという悪循環が起こります。これでは血糖値がどんどん上昇することになります。
特に10歳~30歳くらいの少し太り気味で、『糖尿病予備群と言われたことがある』、『身内に糖尿病の人がいる』男性は、清涼飲料水の飲み過ぎには注意しましょう」
■さっと作れる「糖分ひかえめ自家製ドリンクレシピ」
ここで、福田先生お勧めの簡単ドリンクを教えていただきましょう。
<水かお茶+梅干し、塩昆布>
汗をたくさんかき、いつもより水分を多く補給したいときには、できるだけ、水やお茶にしましょう。ただし、塩分も必要ですから、水やお茶1リットルに対して梅干し1個や塩昆布ひとつまみを口に含みつつ、お茶か水を飲むようにします。
<レモン炭酸水>
炭酸水約150ミリリットル+レモン汁大さじ1.5杯+はちみつ小さじ杯
約20キロカロリーになります。レモンによってビタミンCとミネラルを少し補充します。はちみつは、砂糖よりも甘みが強いので、少量でも甘く感じることができます。
<ダイエットミルク>
お湯約150ミリリットル+スキムミルク大さじ1杯半+はちみつ小さじ2分の1
約50キロカロリー。お湯にスキムミルクを溶かし、はちみつを加えます。
スキムミルクは牛乳の栄養素をそのままに、脂肪分を取り除いた粉末。牛乳よりカロリーが半分程度となり、脂質も抑えられます。
カルシウムが豊富なので、継続して飲むと、イライラ予防や骨量のコントロールにも効果が望めます。
<無糖ヨーグルト水>
市販の無糖ヨーグルトを2倍の水で薄め、はちみつを小さじ1杯加えます。
全体量が150ミリリットルの場合、約70キロカロリーです。甘さひかえめで美味、便秘の改善にも効果的です。
清涼飲料水のみならず、スポーツドリンクにも砂糖がこれほど含まれているとは、ノーマークでした。これからは、ペットボトル飲料の「飲み過ぎ」にも気を付けないといけません。
監修:福田正博氏。糖尿病専門医。大阪府内科医会会長。医学博士。ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。名医として数々のメディアで紹介され、著書に『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』(アスキー新書 780円)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書 756円)、また、最新刊の『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス 1,365円)は、糖尿病患者だけではなく、ヘルシーダイエットとして有効な、「食べ方」、「ウォーキング」、「腹やせ」の実践法が分かりやすく述べられていて話題になっている。
(藤井空/ユンブル)
(著:COBS ONLINE編集部)