京都市東山区の祇園で暴走車にはねられた歩行者の男女18人が死傷した事故で、藤崎晋吾容疑者(30)=死亡=運転の軽ワゴン車が猛スピードで狭い道を走り抜けて電柱に正面衝突する映像が、タクシーのドライブレコーダーに記録されていたことが分かった。専門家は「時速70キロ前後で、ハンドル操作をしている可能性が高い」と分析。京都府警もこの映像を入手しており、藤崎容疑者の当時の意識状態を知る手がかりとして分析している。
【タクシー車載映像で見る】右側から猛スピードで追い抜き衝突するワゴン車
記録した「洛東タクシー」(京都市山科区)の運転手、上田泰三さん(61)によると、四条通交差点から約150メートル過ぎた大和大路通(幅5〜6メートル)を北上中、突然、右横に猛スピードの軽ワゴン車が現れ、車体右側やサイドミラーに接触して追い抜いていった。
映像では、軽ワゴン車は、前方の別のタクシーにも接触。歩行者や別の車のわきをすり抜けて走行し、そのまま右側の電柱に激突した。
上田さんは「飛んできたような感じ。銀行強盗が警察に追われているのかと思った」と語る。さらに「私の車への衝突の衝撃で、軽ワゴン車は右に振られるはずだが、直進した。ハンドルをしっかり握っていたのだろう」と証言する。
交通事故原因の分析を手がける「交通事故鑑定人」の綾田成樹さん(61)=福島県喜多方市=は、映像から、軽ワゴン車は電柱に衝突するまでの50メートルを2.6秒で走行しており、時速約70キロと推定。「左右の歩行者や車を避けて走っている。意識レベルは不明だが、かなりハンドル操作をしている」と指摘する。
府警捜査幹部も「絶句する映像。見た限りでは70キロくらいは出ているかもしれない」と話している。
一方、府警による司法解剖で、藤崎容疑者の体内から「抗てんかん薬」成分が検出されたことが判明。府警は、持病とされるてんかんの発作や服薬状況と、事故の関連を慎重に捜査している。【村田拓也、堀智行、平川哲也】