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■特命調査班 〜マル調〜「検証第1弾! がれき処理の現場」 2012/04/11 放送

 今回の「マル調」は、賛否が分かれる震災がれきの受け入れ問題です。

 近畿では大阪市や京都市など6市町ががれきの受け入れを表明しています。

 では、国が広域処理を目指す震災がれきとは、どういうものなのか。

 東日本大震災で出た東北の被災地のがれきのうち、宮城と岩手にある全体の2割の量がそれにあたります。

 福島県内で出たがれきに関しては、福島県内で処理されることになっています。

 放射能汚染に関しても、国の安全基準を満たしたものに限るとされています。

 しかし、この条件でも放射能への不安を抱く人は少なくありません。

 今回「マル調」は、震災がれきがどのように処理されていくのか。

 被災地と既に受け入れを始めている東京都を訪ね、検証しました。




 先月31日。

 <細野豪志環境相>
 「ヤジで我々がお伝えしたいことをかき消すと思いは伝わらない。事実も伝わらない」
 <市民グループ>
 「帰れ帰れ」

 先月末、京都駅は周辺は、緊迫した雰囲気に包まれていた。

 震災がれきの安全性を説明に訪れた政府の閣僚を、受け入れに反対する市民らが取り囲んだのだ。

 <市民グループ>
 「帰れ帰れ」
 <福山哲郎参議院議員>
 「お話を聞いてください。私は京都が選挙区ですから、帰るところはここです」

 震災がれきの受け入れを巡って、全国で今、賛否が渦巻いている。

 国は、被災地の復興を進めるため、岩手県と宮城県のがれき、およそ400万トンを全国の自治体で処理するという、いわゆる広域処理を打ち出した。

 受け入れ表明をする自治体は増えはじめたものの、実施に踏みきったのは東京都と青森県、山形県にとどまっている。

 放射性物質の拡散を心配する市民は少なくない。

 堺市に住む山田さんは、震災後、茨城県から幼い子供2人を連れて、避難してきた。

 <マル調>
 「大阪に避難して良かったなあって、どういう時に思われます?」
 <山田さん>
 「子供が幼稚園とか外で友達と一緒に、笑顔で元気で遊んでいるときですね、思い切り」

 政府は現在、流通している東北産の野菜や魚は安全基準をクリアしているので安心だと説明するが、山田さんは信用していない。

 関西でがれきを受け入れることには強く反対している。

 <山田さん>
 「何で安全に暮らせるところを無くそうとしてるんだろう。避難してきてがれきまで焼却させてしまったら、もう避難できるお金も無いし、何で未来を絶つことするのかと思います」
  
 はたして震災がれきを受け入れれば問題は起こるのか?

 「マル調」は、被災地とすでにがれきの受け入れを始めた東京都を訪ねて、広域処理の安全性を検証することにした。


 全国で賛否をめぐって議論になっている、震災がれきの受け入れ問題。

 「マル調」は、がれきの安全性を確かめるため、宮城県女川町に向かった。

 今やがれきとひとくくりにされ、仮置き場で山積みになっているが、かっては人々の暮らしの一部となっていた。

 <女川町町民課 千葉英貴係長>
 「緑色の機械がふるい選別機。ふるいにかけて大きさごとに区分する」

 女川町では、先月から、本格的ながれきの処分が始まった。

 26万トンのがれきうち、10万トンは東京都で処分されるという。

 <女川町町民課 千葉英貴係長>
 「可燃物は、ほぼ全量、東京都さんに。木くず、プラスチック類、布など」

 がれきはまず、手作業で木くずやプラスチックなど、材質ごとに分別される。

 その後、仕分けられたがれきは、1時間ごとに放射線量の測定が行われる。

 東京都の安全基準を満たしているか確認するのだ。

 <東京都環境公社 前沢和美係長>
 「バックグラウンド(普通の場所)の3倍以上の値が出ると搬出停止。原因物の特定をする」
 <マル調>
 「3倍というのは?」
 <東京都環境公社 前沢和美係長>
 「東京都のマニュアルです」

 測定は1回だけではない。
 
 コンテナに積み込む前にもがれきからサンプルを取り、がれきそのものの放射線量を測定する。

 <東京都環境公社 前沢和美係長>
 「今、数字は0.022マイクロシーベルトパーアワー。何も入れない状態とほぼ変わらない値です」

 そして搬出直前にも、コンテナの放射線量をチェックする。

 この3回の検査をクリアすることが、東京都の受け入れ基準になっている。

 <マル調>
 「今まで異常を感知したのは?」
 <東京都環境公社 前沢和美係長>
 「無いですね」
 <マル調>
 「コンテナ出すときも?」
 <東京都環境公社 前沢和美係長>
 「問題ないですね」


 厳重なチェックを受けたコンテナが行き着く先は、東京都の一般の清掃工場。

 毎日、がれきおよそ70トンが運び込まれ、ゴミ焼却炉で家庭ゴミと一緒に燃やされる。

 <マル調>
 「特別な扱いではなくて同じ扱いですか?」
 <東京二十三区 清掃一部事務組合 塚越浩課長>
 「普通のゴミと同じ扱いと考えて結構です」

 <線量測定する職員>
 「0.10」

 清掃工場では、一週間に1回、敷地内?か所で空間線量を測定している。

 受け入れから1か月、数字に変化はあったのだろうか。

 <清掃工場職員>
 「実際に(がれきが)入りはじめてからも、数字自体はそんなに変わっていないので、特に心配はしていません」

 東京の清掃組合によると、煙突から出る排ガスからも放射性物質は検出されていないという。

 仮にがれきに放射性物質がまぎれこんでいたとしても、大気中に出ることはないという。

 <東京二十三区 清掃一部事務組合 塚越浩課長>
 「これが『バグフィルター』そのものです。1本の長さが5メートルあります。灰はこの外側にくっついて、除去される」

 「バグフィルター」とは、焼却炉から出るすすや焼却灰などを除去する装置で、「セシウム」などの放射性物質も除去することが可能だという。

 <東京二十三区 清掃一部事務組合 塚越浩課長>
 「排ガスから放射性物質は検出されていないということから言っても、『バグフィルター』で全て除去できていると」

 しかし、もともと「バグフィルター」は、焼却の際に出る「ダイオキシン」を取り除くために作られたもので、放射性物質の除去については効果を疑問視する製造メーカーもある。

 <マル調>
 「『バグフィルター』で放射性物質は除去できるんですか?」
 <泉環境エンジニアリング 古田周一技術部長>
 「『バグフィルター』ではとれません。『バグフィルター』単独では。すべてが粉じん化している放射線物質ならともかく、あるいは気体、ガス化したものも含まれているかもしれないので。そこらへんについては我々でも回答しにくい」

 このメーカーは実験はしていないという前提で放射性物質が燃えて、気体になると「バグフィルター」を通り抜ける可能性があるという。


 では、「バグフィルター」は万能とはいえないのだろうか。

 環境省に聞いてみた。

 <環境省広域処理推進チーム 関谷毅史チーム長>
 「燃やす家庭で『セシウム』は排ガスの中のちりのようなものに吸着されることが分かっている。もともと『バグフィルター』はその煤じんをとるために取り付けているものなので、その煤じんをしっかり取ることで『セシウム』をほぼ100パーセント取れるということを私も確認している」

 つまりがれきに付着した「放射性セシウム」は焼却炉で焼かれて、一旦気体になる。

 その後、「バグフィルター」を通る前に200度以下に冷やされて、液体や固体に戻るという。

 その際、「セシウム」は、すすなどの灰に付着するため「バグフィルター」で除去することができるのだという。

 
 環境省は、「バグフィルター」で「セシウム」の拡散を99.9パーセント防げると断言するが、一方で安全とは言い切れないと指摘する専門家もいる。

 <京大原子炉実験所 小出裕章助教>
 「放射線に被ばくをするということは、どんなに微量でも危険なんです。99.9パーセントつまかえても、0.1パーセントは出てしまうので必ず危険性はある」
 「放射能に関しては安全という言葉をもともと使ってはいけない。安全性を確認するとかみなさん言うけど、そんなことはできないのです。どんなに低いレベルであっても危険はある、ということを覚悟しないといけない」

 東京都のケースを見る限り、がれきの処分方法に問題は見あたらない。

 その工程で、人為的ミスや事故が起きる可能性も捨てきれない。

 それだけに、受け入れには万全の安全対策が必要だ。

 <マル調>
 「がれきの受け入れ反対とか賛否あるが?」
 <女川町町民課 千葉英貴係長>
 「1回、被災地の状況を見て頂きたい。まず、がれきをよけないと復興にならない」




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