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新格闘王&リングス代表・前田日明 3

 ◆前田氏は08年に総合格闘技大会「アウトサイダー」を旗揚げし、アマを育成してきた。

 「いつかは再復活させないといけないな、と思ってましたよ。一時業界にいる人間に嫌気がさすとこあって、ちょっと引いたんですよね。3年くらい遊んでたんですけど。(格闘技ブームが終えんを迎えて)夢を抱えてこの世界に飛び込んで試合してギャラをもらえない選手とか、もっと上の連中がしっかりやって責任を果たせる人間を育てないと、このまま格闘技全体がたぶんフェードアウトしちゃう。それはちょっと困るんで、何とか頑張ろうかなと思うんですけどね」

 ◆前田氏の改革案は続く。

 「能力のある選手にはそれなりに相当のギャラをあげなきゃいけないしっていうのがあるんですけど、この選手にこんな金出す必要はないんじゃないかっていう選手にまで出してるんですよね。そういうのをはっきりして。あと格闘技の大好きでやってる選手が、アマチュア根性抜けないヤツがいっぱいいるんですよ。勝っても負けてもいい試合をして、それに魅力を感じて切符を買ってもらうということはどういうことなのか。あまりにも勝つことだけこだわってつまんない試合して、守りに入ったね、見ても何やってんだみたいな試合やってそれが当たり前やって言う連中がけっこういるんで、それもきつい発言をしてただしていきたいですね」

 ◆この後も現在、主流となっている総合格闘技のルールに「いかがなものか」と懸念を示した。

 「日本で総合を立ち上げたメンバーの1人として責任があるんですよね。業界全体がちゃんとした方がいい。見本を見せたいですね」

 「サドマゾショーをやるんじゃないんですから、スポーツをやるんですから、そういう(危険なルールは)のはダメにしなきゃいけないんですよね」

 ‐リングスの長期的な展望は。

 「少しずつ大きな会場でやっていくのと、ヘビー級も含めて新たな選手の発掘もどんどんやっていくと。一時期ヒョードルがすごいっつったら、みんなヒョードルヒョードルって言ってましたけど、例えばロシアなんかで言えば、ヒョードルくらいの素質の人ってけっこういっぱいいるんですよね。自分はリングスの時代に11年間、ロシアに行ってきたりしましたけど、とんでもないヤツいましたね」

 ‐前田さんが選手を発掘する慧眼(けいがん)ぶりはよく知られていますが、善しあしはどこでわかるんでしょうか。

 「すごいときはもう立ち姿で分かるときありますね。パッと見てコイツできそうだなと。勘ですよね。実際には動いてるのも見てるのももちろんありますけど、オーラっていうんじゃないだけど、独特の雰囲気がありましたよね」

 ‐リングスで特にそれを感じた選手は。

 「ピーター・アーツなんかもそうでしたし。アメリカで発掘しに行って見てた(アントニオ・ホドリゴ・)ノゲイラもそうですし。ヒョードルもそうですし。アリスター(・オーフレイム)なんかもこのまま出れば強いヤツになるんだろうなという雰囲気はありましたよね。ダン・ヘンダーソンもありましたし」

 ‐現在のトップは、まずリングスで来日した人が多いですね。

 「当時『世界最強の男はリングスが決める』って(キャッチコピーで)言ったら何言うってんだって言われましたけど、結局そうなりましたね」

 ‐今、アウトサイダーやZST、リングスに上がる選手でコイツはいいっていう選手は。

 「アウトサイダーは言えないんですよ。言うと急に練習しなくなって、勘違いして『オレは横浜文体でしか試合しない』とか言い出すんでね。かわいいんですけどうかつなこと言えないなって。素質があったのに、オレが余計なこと言ったために練習しなくなって、コイツもったいないことしたなってヤツいるんでね。でもいますよ、何人かね。ZSTでは鈴木でしたっけ、信達はいいですよね。最初はどうなんかと思いましたけど、見てるうちにけっこう風格が出てきた」

 ◆鈴木信達は空手出身で、デビューから9勝2分と無敗街道をばく進。行政書士でもある。

 ‐ちなみに外部で今いいんじゃないかっていう選手、団体は。

 「ノアのKENTAくんでしたっけ。彼はすごく頑張ってやってましたよね。いまヒザ壊して…。彼は良かったですね。彼が中心になっていろいろとまあやって」

 ‐最後に、リングスを再開するにあたっての所信表明をお願いします。

 「世界最強の男が育つ場所とみんなが認めるように、団体をもっていきたいと思います」

 ‐そういえば、去年行われた藤波さんとのトークショーで、藤波さんが現役に戻って欲しいと言っていました。

 「ファンに引退試合だよって言って切符買ってもらって試合しましたからね。ちょっとできないですね。自分は十八くらいの時からずっと鹿島神宮に行ってるんですけど、ちゃんと自分で祝詞挙げて、口に出していろんな約束事してやってるんで、破ったら罰当たりになっちゃうんでできませんね。ヘッヘッ」

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 前田日明(まえだ・あきら)1959年1月24日生まれ、大阪市出身。77年、新日本プロレスに入門し山本小鉄戦でデビュー。84年、第1次UWF旗揚げ。88年、第2次UWF旗揚げ。89年、プロレス大賞MVP。91年、リングス旗揚げ。99年、アレクサンダー・カレリン戦で引退。02年、リングスが国内での活動を停止。05年、ビッグマウスラウドとHERO’Sのスーパーバイザー就任。08年、アウトサイダー旗揚げ。身長192センチ、体重115キロ。得意技はキャプチュード、ニールキック。







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