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時事通信健保が禁止の外債運用 多額の含み損で関係者を処分

ダイヤモンド・オンライン 4月17日(火)13時25分配信

 AIJ投資顧問による企業年金資産消失問題を糾弾する大手マスコミも“同じ穴の貉”だった――。

 国内2大通信社の一つ、時事通信社(東京都中央区)の健康保険組合(時事健保)が、健保組合員から集めた保険料の一部を、厚生労働省が禁じる外国債(仕組債)で運用し、約1億円に上る含み損を抱えていることが17日、本誌の取材で分かった。

 本誌の取材に対し、時事通信社は「詳細は明かせないが、結果として遺憾に考えている」としている。

 時事通信社は関係者の懲戒処分をすでに実施。含み損の穴埋めとも取れる組合員の保険料割合の引き上げを決めている。

 ところが、この引き上げを決めた組合会議員の議員が、健康組合法で定められた所定の手続きを経ないまま選出されているというお粗末ぶりも発覚。その決定の正当性を問題視する厚労省と協議中だ。

 厚労省は2007年度以降、健保の新たな事業運営基準を示している。「リスクが大きく、長期安定運用が見込めない」(厚労省)として、外国債への運用を原則禁止したのだ。

 監査で違反が発覚すれば、指針後の分については運用停止に、それ以前の運用分についても「現行の経済状況では利益は見込めない」として、状況により、早期の償還推奨といった行政指導の対象になる。時事健保の外国債には「禁止後に購入したものある」(時事通信社)という。

 関係者によると、約1300人が加入する時事健保の外国債運用とその含み損も昨年7月の厚労省の監査で指摘され露呈。その時点の保有額は、額面で計4億5000万円と見られている。しかも、そのすべてが「仕組債」だ。一般債権とは異なる特殊な「仕組み」を持つ外国債で、デリバディブを組み込んだハイリスク・ハイリターンの金融商品であるため、一般的に投資判断が難しい代物とされる。

 現在も計3億5000万円保有したままだが、うち30%近い約1億円が含み損になっている状態だという。

 外債の購入は、当時の時事健保常務理事らの独断だったとされ、この元常務理事らは懲戒処分された。ところが、損害賠償請求は行わない方針だ。

 一方、時事健保は今年度から、保険料の会社と組合員の比率について、現行の「7.15対2.85」から「6.15対3.85」へと、組合員負担を大幅な引き上げる方針を決めた。この変更により、組合員の平均負担は、11年度の10万7000円から、16万9000円へ大幅に膨らむことから、社内から不満が噴出しているという。

 本誌の取材に対し、同社は「当局と協議中で、含み損の額など詳細は言えない。負担比率の変更は、高齢者医療供出金の増加が原因で、外国債問題と無関係だ」としている。

 (「週刊ダイヤモンド編集部」 メディア問題取材班)

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最終更新:4月17日(火)13時25分

ダイヤモンド・オンライン

 

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