震災がれきを受け入れる県の計画で、県市長会(会長・神谷学安城市長)は十七日、県などに方針をただす会合を名古屋市内で開いた。県の処理施設整備候補地の市長からは、県の計画を疑問視する意見が出た。放射能に汚染された恐れがあるがれきの安全性など、受け入れの課題を協議する「研究会」を市長会に設置することで合意した。
会合には、県内の三十八市から市長二十二人や環境部局の担当者が出席。県の小川悦雄副知事が、県内三カ所に受け入れ用の処理施設をつくる計画に理解を求めたほか、環境省の担当者も全国の自治体が協力する必要性を訴えた。
処理施設の整備候補地の一つ、中部電力碧南火力発電所を抱える碧南市の禰宜田政信市長は「がれき処理の協力が必要なのは四百万トンなのに、なぜ愛知だけで百万トンも受け入れるのか」と疑問を示した。「受け入れ量として過大」との訴えで、県側は「最大の処理能力を示しただけだ」と理解を求めた。
名古屋港南5区2工区が候補地となった知多市の加藤功市長は「風評被害が出たらどうするのか」とただし、環境省側は、国が責任を持って対応する意向を示した。
さらに、姉妹都市の岩手県釜石市でがれき調査を行った東海市の鈴木淳雄市長は「県の計画は時間がかかる。愛知でがれきの塩分を抜く作業を行い、三重県などのセメント工場に原料として受け入れてもらう方法もある」と提案した。
神谷会長によると、県の計画には疑問点が多く残ることから、情報を共有するため市長会に研究会を置く。六月上旬までに初会合を開く。県は今後、受け入れに向けて独自の安全基準をつくるが、神谷会長は「県の基準が不十分な場合は、市長会としても基準を研究する」と話した。(内田康、藤沢有哉)
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