政府は一体どんな方針を持っているのか。言動は矛盾だらけで、この国をどこへ導こうとしているのか分からない。枝野幸男経済産業相が福井県知事と会談し、大飯原発再稼働への同意を求めた。
政府が「脱原発依存」を打ち出して1年もたっていない。原発の比率を定める新エネルギー政策がまとまるのは今夏だ。青写真もないままなし崩し的に再稼働すれば、政治不信は頂点に達しよう。政府は再稼働ありきの姿勢を改めるべきだ。
それにしても政府の姿勢は支離滅裂に見える。野田佳彦首相が「安全性の観点を大事にしながら(再稼働を)政治判断する」と国会で答弁したのはわずか2週間前だ。それなのに、首相の指示からたった3日でまとめた「新安全基準」を基に再稼働しようとする。
福島原発事故の原因も定かでない中でのことだ。東京電力は「想定外の津波」が原因と説明するが、津波の来る前に配管が破損した、つまり地震も原因の一つと疑う専門家もいる。こんな状態でまとめた「安全基準」に基づいて再稼働させる政府が「安全性を大事に」していると言えるだろうか。
その理由も、再稼働しなければ電力供給が不足するからという。専門家によれば、日本の火力発電の稼働率は5割以下で、7割まで引き上げれば原発はゼロでも供給は足りる。なぜ不足するのか。
昨夏ならまだしも、今夏は震災から1年以上たつ。火力発電の再稼働が間に合わないというのは理由にならない。原発を推進したい人々が、無理に電力不足を演出しているのではないか。
枝野氏は電気料金値上げも示唆した。原発が稼働した方が安いかのような言動だが、まやかしだ。
原発から出る放射性廃棄物は最終処分法が決まっていない。処分には天文学的費用を要しよう。トイレのないマンションを売り出し、「他のマンションより安い」と宣伝するようなものだ。
今回の事故は補償と処理を完全にするなら数十兆円かかる。恐らく住民への補償は限られ、被害者は泣き寝入りになるだろう。事故補償の積み立てが圧倒的に不足していたのは明らかだ。そうした経費を計上せず付けを後世や住民に回しておいて、安上がりと吹聴するのは無責任だ。
こうしてみると、再稼働が非合理的なのは明らかだ。政府は脱原発へ腰を定めてもらいたい。
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