米運輸省の高速道路交通安全局(NHTSA)は現地時間の12日、アクセルとブレーキを同時に踏み込んだ場合にブレーキを優先させるブレーキ優先装置(BTO)の搭載を原則としてすべての車両に義務付ける規制案の趣意書を公表した。2014年中に販売が始まる15年モデルからの導入を目指す方針だ。
規制案は60日間のパブリックコメント期間を経て今年の10月1日に最終案を確定し、14年9月1日からの施行を予定している。NHTSAが公表した趣意書は以下のウェブサイト( http://www.nhtsa.gov/staticfiles/rulemaking/pdf/FMVSS_124_BTO_NPRM_Final.pdf )で閲覧することができる。
■メーカーの追加負担はほぼゼロ
NHTSAによれば、ブレーキ優先装置の搭載を義務化することによる自動車メーカー側のコストの追加負担はほぼ発生しないもようだ。すでに12年モデルの段階で、ほとんどのメーカーがブレーキ優先装置の導入を済ませているためだ。
新規制の対象となるのは電子制御スロットルシステム(ETC)を使用している車両すべてと、車両総重量(GVW)が1万ポンド(約4536キログラム)以下の車両で、バスやトラックなどの商用車も含まれる。
運輸省のラフード長官は新規制案について「フロアマットがアクセルペダルに干渉した場合やアクセルの制御系統が何らかの不具合を起こした場合など、どちらの状況であれ、ドライバーが自車を制御可能な状態にすることで、安心を得られるようになるだろう」と述べた。
同長官の発言は09年に問題となったトヨタ車の「意図しない急加速」問題が念頭にあるとみられる。トヨタは09から11年初めまでに1000万台以上のリコール(回収・無償修理)を実施したが、電子制御スロットルシステムには欠陥はなかったと主張。その後のNHTSAと航空宇宙局(NASA)の共同調査によってトヨタの主張が正しかったことが証明された。
意図しない急加速問題はフォード・モーターなど、トヨタ以外のメーカーの車両でも発生しており、ほとんどの場合、フロアマットがアクセルペダルに干渉したか、あるいはドライバーによるペダルの踏み間違い、クルーズコントロール装置の欠陥のいずれかが原因とされている。