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現場のニーズの本質を見抜き、コマツならではの生産技術を開発 生産本部生産技術開発センタ 所長 岩崎 章夫 AKIO IWASAKI

高い品質を保ちながら、無駄なコストをかけずに量産

生産技術開発センタは、高い品質を保ちながら無駄なコストをかけることなく製品を量産するための生産技術を開発する部門です。材料開発、溶接技術開発、CAE(Computer Aided Engineering)いわゆるコンピュータシミュレーションの3部門からなっており、コマツグループの中で、唯一の生産技術の研究・開発拠点で、新しい生産設備や量産技術、素材などの開発を行っています。
一見、昔からほとんど形が変わっていないように見える油圧ショベルでも、仕様は多岐にわたり、ボディ剛性(外力に対する変形のしにくさ)は高まり、燃費を減らすために車体を軽量化していっています。それに合わせ、生産設備を改善し、材料も強度の高いものを新開発しています。強度が高いということは、切断や溶接も難しくなるので、新しい技術が必要になります。

生産設備、技術を自社で開発

新材料開発は、たくさんのスタッフと開発費用をかけて慎重に行っています。もし材料で失敗したら、その材料でつくった建設機械が世界中で壊れ出すかもしれませんからね。そうならないために、基礎的な強度の実験などを徹底的に行った後、数十台の試作車をつくり、実際に現場で1年間動かしてデータをとるなど、製品化するまでには時間がかかります。
コマツでは、生産技術のCAEが非常に進んでいます。例えば、溶接の場合だと、事前に溶接することで部材がどう変形するかなどをシミュレーションしておき、あらかじめ部材を少し歪ませておくことで、溶接後に変形が出ないようにする、などということが可能です。
また、コマツの生産設備開発の特徴は、生産現場から依頼を受けて開発が始まるプロジェクトと、生産技術開発センタが自主的に始めるプロジェクトの割合が半々であることです。後者は、工場に向けてプレゼンテーション、つまり「売り込み」をします。社内の工場がお客さんというわけです。生産設備は、外部のメーカーからも購入できます。私たちの提案が採用レベルに達していないと、コマツの工場で他社製品が使われてしまうという緊張感を持って、開発に取り組んでいます。自主的に開発を進めるのには、理由があります。新しい装置の開発には約2〜5年かかるため、先手先手で次に必要になるであろう技術を予測して始めておかないと間に合わないのです。予測が的中し、装置の開発がタイムリーに完了した時には、「やったな」と(笑)。

本質を見抜く目を持て

私たちは、日頃から全国の工場に出かけ、工場長やスタッフから情報収集を行っています。しかし、現場の意向がそのまま開発テーマになるとは限りません。むしろ、ニーズを「翻訳」して、「何が求められていて、どうしたら実現可能なのか」を見抜くことが大切です。例えば、工場にどんな溶接装置が理想かと聞いて「火花が出ない装置」と言われるとします。火花は鉄の溶けた粒なので部材にくっつくと、それらを取り除く作業が必要になるため、あらかじめ火花を出さないようにしてほしいわけです。私たちはゼロというのは無理だとわかっていますが、「できない」とは言いません。溶接装置だけでは実現不可能でも、例えば塗装前に錆などの小さな汚れを落とすショットブラストという工程があるのですが、溶接で出る火花をできるだけ小さくして、付着物はショットブラストで一緒に落としてしまう生産方法があるのではないかと考えるわけです。
私も、入社して15年間、研究所だけにいた時は、現場のことがわかっていなかったと思います。
大阪工場の生産部門で、溶接から機械加工、組立まで、一通りのことを経験して初めて、「あ、こういうことだったのか」と現場が本当に解決してほしいポイントがわかるようになりました。この経験から、生産技術開発センタのスタッフには、なるべく一度は生産現場を経験してもらっています。

自分の知識が形になっていく面白さ

大学院の専攻は工学(金属加工)だったのですが、正直に言うと学生時代は、工学系のテーマがそれほど好きなわけではありませんでした。溶接の勉強にしても、鉄の種類などをひたすら覚えるだけでは面白くありませんよね。コマツに入社し、現実に機械を前にしていざ仕事となると思い知るわけです。「ああ、このために僕は勉強してきたんだ」と。自分が身につけてきた知識が、技術や製品として形になっていく面白さに目覚めると、「次は何をしよう」と貪欲になることができます。
私の場合は、入社後すぐに、当時で1台1千万円以上もするようなアメリカ製の原子力配管用溶接装置の改良を、同期と2人で「お前たち、やってみろ」と任されました。その装置を用いて、油圧ショベルの溶接部分からの油漏れを改善することが課題でした。装置をそのまま使った溶接法だと疲労強度は上がるのですが、量産には不向きでした。入社したばかりの研究員2人だけで、装置の再設計から実験までを全てやって、1年半かけてプロトタイプを完成させました。それから30年近くたった現在も、世界中のコマツの油圧配管は、私たちが開発した溶接装置で製造しています。

学生の皆さんへ

ひとたび会社に入れば、新入社員であってもプロであることを求められます。仕事は与えられるもの、言われたことだけをやっていればいいという感覚では、プロとは言えません。
また、研究員であっても、コミュニケーション力が不可欠です。大切なのは「難しい専門用語を使わず、相手の立場に立って、簡単にわかりやすく伝えられること」だと思います。まずは、大学で勉強したことを、平易な言葉で、論理的に説明してみることから始めるといいと思います。

2000年から4年間、イギリスの現地法人に副社長として駐在しました。650人のスタッフのうち、日本人は3、4人。方言の強い地域であるイングランド北東部のニューカッスルに事務所があるため、言葉の壁にぶつかりました。ローカルの人たちの言葉が全然わからなくて、電話が怖かった(笑)。ただ、単身赴任でしたので、家に帰っても日本語を話せない、テレビをつけても英語と、英語漬けの生活になり、慣れるのは思ったよりも早かったです。
ニューカッスルのスタッフは、フレンドリーで、生産現場の課長さんたちとよく飲みに行きました。そのおかげで駐在を終える頃には、日本人の中では誰よりも現地のパブに詳しくなりました。

所属歴 2004年 生産技術開発センタ 2000年 英国コマツ(駐在) 1999年 大阪工場製造部 1998年 大阪工場購買部 1996年 大阪工場製造部 1981年 生産技術研究所 1981年 入社 趣味 海釣り
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