海水注入、実際には継続 メルトダウンも明らかに
首相は説明責任果たせ
公明新聞:2011年5月27日付
菅内閣の原発対応
この内閣で原発事故の収束はできるのか。「弁解」や「責任逃れ」に終始し説明責任から逃げる菅内閣に国民の不信感は高まるばかりだ。
特に、東京電力福島第1原子力発電所の事故から2カ月以上経過して明らかになった1号機や、2、3号機のメルトダウン(炉心溶融)は、政府の説明が完全に誤りだったことを示している。
これまで、政府は「メルトダウンのような危機的な状況にはならない」(菅首相、3月12日の与野党党首会談)、「注水をして、冷却が一定程度できている状況なので、冷却を継続できれば、そういうことにはならない」(枝野官房長官、4月19日の記者会見)などと、その可能性を一貫して否定していたからだ。
また、大震災の翌日3月12日に、福島第1原発への海水注入が約1時間にわたって中断されていたとされる問題では、首相や官邸の関与があったのではないか、との疑念が消えなかった。
政府は21日、「中断」の理由として「(内閣府原子力安全委員会の)班目委員長から再臨界の危険性があるという意見が出された」と発表したが、「私から言うはずがない」との班目氏の抗議で、翌22日、「臨界の可能性はゼロではない」との発言だった、と訂正。この混乱ぶりは連日マスコミに大きく報道された。
ところが、東電は26日になって、実際には発電所長の判断で注入中断はなく、継続していたと発表、21日に政府・東電統合対策室が公表した調査結果を大きく訂正した。いったい何が真相なのか。
原発事故に対処する“司令塔”である首相や官邸が、現場の状況を今日に至るまで全く把握していないことは明らかであり、菅内閣への不信感は高まるばかりだ。
菅内閣ではこれまでも原発をめぐって混乱を続けてきた。菅首相の発言として「最悪の事態になったときは東日本がつぶれる」「(原発周辺は)10年、20年住めないだろう」などの言葉が関係者から紹介され、報道されると首相があわてて否定するようなことがあった。
菅首相の言葉はいつも軽く、決定には熟慮の跡は見られない。唐突な中部電力への浜岡原子力発電所の運転停止要請では、原発を抱える知事らから「説明不足」との声が相次いだ。「結論だけがぽろっと出てきて思考の過程が全くブラックボックスになっている」(日本経団連の米倉会長)との批判は当然である。
混乱、迷走する菅首相に、危機管理は任せられない。
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