「炉心溶融」隠しに怒り
校庭の被ばく量 基準(年20ミリシーベルト)引き下げを
衆院震災復興特委で斉藤氏
原発情報に国民の不信
公明新聞:2011年5月24日付
衆院は23日、菅直人首相らが出席して東日本大震災復興特別委員会の質疑を行い、公明党から斉藤鉄夫幹事長代行、石田祝稔政務調査会副会長が質問に立った。この中で両氏は、政府提出の復興基本法案の問題点を指摘したほか、東京電力福島第1原子力発電所1号機のメルトダウン(炉心溶融)の情報を隠していたのではないかとの疑惑などについて、政府の対応を追及した。 質疑要旨
斉藤氏は、政府が提供する東電福島第1原発事故をめぐる情報に国内外で不信が高まっている問題に言及。特に、同原発1号機原子炉圧力容器内の燃料全てが震災発生翌日の朝にはメルトダウンしていたと、2カ月以上経過した今月15日に発表したことに対して「国民を危険な状況に置きながら、一切言おうとしなかった政府に激しい怒りがある。首相も認識せよ」と糾弾した。
さらに斉藤氏は、水位計や原発正門付近の放射線量率のデータを見れば、早い時期のメルトダウンを「首相は分かっていたはずだ」と追及。震災発生当初に菅首相と班目春樹・原子力安全委員長の間で海水注入の是非をめぐって「(制御されない状態で核分裂連鎖反応が起きる)再臨界の可能性はゼロではない」とのやり取りがあった点については、「メルトダウンを認識していたことに他ならない」とただした。その上で、最悪の事態の可能性を開示しなかったことが「国民が不信を持っている大きな原因だ」と批判した。
菅首相は、メルトダウンについて「いろいろな意見があったことは早い時点から聞いていた」と弁明。しかし、原子力安全・保安院の発表が「政府の正式な形の考え方」と固執し、「(自分は)何か知っていてうそをついたり、黙っていたわけではない」と逃げた。
一方、校庭を利用する際の放射線の被ばく量基準を年間20ミリシーベルトに設定したことについて、斉藤氏は「合理的な方法でできるだけ低く被ばく量を抑えるべきだ」と強調。国際放射線防護委員会(ICRP)の見解を踏まえ、「1ミリシーベルトにするのは可能だ」と訴えた。
枝野幸男官房長官は「1に近づく方向に向けた最大限の努力を進めており、さらに強化したい」と答えた。
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