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焦点/南相馬も警戒区域解除/生活再建、遠い道のり

東日本大震災で壊れたままの店舗。インフラの復旧は進まず、生活できる状況になっていない=16日、南相馬市小高区のJR小高駅前

 福島第1原発事故に伴う南相馬市の警戒、計画的避難の両区域が16日、解除され、避難指示解除準備、居住制限、帰還困難の3区域に再編された。1日の田村市と川内村に続く第2弾。帰還困難区域を除き立ち入りは自由で復興への一歩となるが、大きな課題が残る。これまでの立ち入り制限でライフラインの復旧とがれきの処理、除染は手付かずのまま。立ち入り解禁による治安悪化も懸念され、住民が自宅で生活できるまでの道のりは遠い。(大場隆由、勅使河原奨治)

◎復旧手付かず、治安悪化懸念

<桁違いの規模>
 同日午前0時、原町区の国道6号などに設けられた検問所が撤去され、人と車両の通行が可能になった。検問所は立ち入り禁止の続く浪江町との境まで後退した。
 区域再編の対象者は小高、原町の両区の3979世帯1万3256人に上る。内訳は、避難指示解除準備区域が3846世帯1万2740人、居住制限区域が132世帯514人。
 両区域は宿泊できないが、自由に一時帰宅でき、製造業など事業再開もできる。帰還困難区域は1世帯2人で、解除準備、居住制限の両区域で対象者のほぼ全てを占める。
 区域再編が先行した田村市、川内村の対象者は381人、353人にとどまる。南相馬市の再編規模は桁違いに大きく、再編の成否を占う。

<曖昧な工程表>
 南相馬市は16日、ライフライン復旧とがれき処理、除染の工程表を市議会に示した。電気は4月中におおむね回復する見通し。水道は原町区は7月末までに通るが、小高区は来年3月まで待たなければならない。
 小高区では2カ所の浄水場が津波で流された。同区の水道普及率は50パーセント程度だが、地盤が弱く水道管が随所で破損している。下水道も同様の状況で、「復旧は1年では終わらない」(市下水道課)という。
 警戒区域の解除を受け、南相馬消防署小高分署(小高区)が業務を再開したが、「消火栓が使えず、タンク車と川の水で対応せざるを得ない」(関係者)といい、消火活動に不安が残る。
 旧警戒区域のがれき処理と除染は国が行うが、仮置き場の選定遅れで作業計画が宙に浮く。がれきの仮置き場は市内に4カ所、除染廃棄物用は数カ所に設ける予定だが、住民の反対で1カ所も決まっていない。
 市によると、旧警戒区域のがれきは約34万トンと推計される。市の工程表でも「撤去は6月以降」と曖昧な表現になった。除染も「本格実施は本年度中」と幅を持たせた。

<住民らが巡回>
 区域再編に伴う治安悪化を心配する住民も少なくない。一日中誰でも立ち入りでき、盗難の発生が心配されるためだ。
 市は住民有志の「見守りパトロール隊」を結成し、16日未明、旧警戒区域の巡回を始めた。隊員は32人が4地区に分かれ、平日と土曜は16時間、日曜と祝日は24時間体制でパトロールする。南相馬署も小高駐在所(小高区)に日中3人の警察官が常駐する態勢を取る。
 それでも住民の不安は消えず、「夜間の立ち入りを制限すべきだ」(小高区の行政区長)との声も上がっている。
 原町区の借り上げ住宅に避難する小高区の女性(28)は「警戒区域が解除されたといっても、ライフラインが回復して除染が進まなければ帰れない。防犯面も不安で、今の避難先の方が安心して暮らせる」と話している。

[避難区域再編]政府が福島第1原発事故で指定した避難区域を放射線量によって避難指示解除準備、居住制限、帰還困難の3区域に見直す。解除準備区域は線量が年間20ミリシーベルト以下で生活基盤が整えば帰還できる。居住制限区域は20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下で一時帰宅が可能。帰還困難区域は50ミリシーベルト超で長期間生活できない。


2012年04月17日火曜日

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