熊安准教授
発表したのは、大阪府立大女性学研究センターの熊安貴美江准教授(51)らの研究チーム。全国レベルで活躍する埼玉など3県の18歳以上の女子選手140人(10代34・6%、20代60・1%、30代以上5・3%)を対象に2007、08年に調査した。男性指導者のセクハラ行為になり得る15項目に関し、その経験の有無と、行為を受容できるか否かを聞いた。
調査結果によると、「他人のいない部屋に1人呼び出された」経験を33・6%が持ち、34・3%は呼び出される行為を「受容できる」と回答。「みだらなことを言われた」経験は46・4%に上り、23・6%が受容できるとした。
さらに「恋愛関係」「性的関係」「遠征や合宿で指導者と同じ部屋に泊まる」といった行為を受容する答えがそれぞれ15%、5・7%、1・4%あった。
女子大学生を対象にしたかつての研究で、体育系学生は一般学生よりもセクハラに許容的傾向だったことが知られているが、今回の結果は、そうした傾向をより明確化させる格好になった。
セクハラ行為を受容する意識が生まれる背景について、熊安准教授は指導現場の構造の問題点を挙げる。「勝負に対する高い目標を掲げると選手は指導者に依存しがちになり、一種のマインドコントロールが発生する。そうなると選手は指導者の行為が正常かどうか判断できなくなる」と分析する。
そうした事例が県内でも表面化した例がある。07年に発覚した高校の男性コーチによる女子選手への性的暴行事件の公判で、検察が「忠誠を誓わせる絶対的状況をコーチがつくり上げていた」と言及した。
セクハラ行為が後を絶たない中、選手への啓発活動が進んでいない側面も浮かび上がる。今回の調査に応じた140人のうち、日本体育協会が04年に制定したセクハラ防止を含む「倫理に関するガイドライン」を知っていたのは、わずか10・7%だった。
セクハラ被害は小中学生時代から受ける可能性もあり、早くから選手側へ人権意識を育む必要がある。「でも日体協をはじめとした各種団体は人権意識を育む活動に消極的」と熊安准教授。「日本社会には、競技成績で人間性まで評価する風潮が強い。セクハラ行為は指導者の資質だけの問題ではない」と断じている。(岡本幸浩)
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