中国で食品用カプセルの原料に廃棄物が混入 大問題に
中国で、薬やサプリなどを詰めて飲むために使われる食品用のカプセルに、工場の廃棄物が使われていたことが明らかになり、大きな問題になっている。
中国中央テレビは「記者が調べたところ、小さなカプセルには、『重大な秘密』が隠されていました」と報じた。
袋詰めになったカプセル状の市販薬。
ところが、カプセルの材料は、異臭を放った使い古しの革靴だった。
食品汚染が後を絶たない中国で、今、大騒動となっている薬用カプセルへの有害物質混入事件。
中国中央テレビの報道によると、革靴やベルトなど、重金属のクロムで処理して製造される工業用のゼラチンを、一部のカプセル製造業者が薬用のカプセルに転用し、販売していたという。
大きな容器の中で煮詰めて作られるゼラチン。
すくい上げると、使い古しの皮から作られたゼラチンが出てきた。
工場の責任者は、「(カプセルにしても大丈夫?)100%問題ない」と話した。
中国国家食品監督管理局は15日、基準値を超えるクロムが検出された風邪薬や胃薬など、9社の製品13種類について、販売・利用を一時停止する緊急通知を発表した。
中国の基準では、薬用カプセルのクロム含有量は、1kgあたり最大で2mgに定められているが、今回の調査では、最大で基準値の90倍以上のクロムが検出されていた。
昭和大学薬学部・沼澤 聡准教授は「毒性が強い『六価クロム』であって、恒常的に毎日一定にカプセル10個とか、長期にわたって摂取した場合には、最悪だと『がん』の可能性もある」と話した。
通常、人の口に入る薬用のカプセルは、牛や豚の骨や皮から抽出したコラーゲンから作られている。
「スーパーニュース」取材班は、奈良県にあるカプセルを製造している「クオリカプス」の工場へ向かった。
原料となるゼラチンを溶かしたものがタンクの中に入っており、カプセルに成形される。
細かく砕かれたゼラチンを機械で成型し作られるカプセル。
クオリカプスの松浦 誠之介品質保証部長は「ゼラチンメーカーは国産が1社、フランスの会社からと両方入れています。弊社では、中国産のゼラチンは一切使っておりません」と話した。
クオリカプスでは、製造されたカプセルをさらに検査し、厳重に安全性を管理している。
クオリカプスの松浦 誠之介品質保証部長は「(中国の事件について?)びっくりしています。日本ではあり得ないことです」と話した。
通常より半分の価格で取引されていたという中国の有毒カプセル。
中国の公安当局は、工業用ゼラチンを製造・転売した会社責任者らを拘束したが、家宅捜索の際、証拠隠滅目的とみられる放火騒ぎも発生した。
今回、該当する企業の1つをネットで調べてみると、この問題をかなり厳しく批判する一文が出たあと、自動的に別のウェブサイトに移動してしまった。
中国メディアは、一様にこれをハッカーによる行為だと報じている。
今回の事態について北京市民は、「乱れまくっている。人の命を甘く見ているね」、「毎日毎日、ニュースに驚かされて、わたしはもう慣れっこになりましたよ」などと話した。
今回の事態を受け、風評による被害がゼラチンを使用するヨーグルトやプリンにも広がっていて、実際に売り上げが減っていると中国メディアは報じている。