どこにでも酒グセのよろしくない人はいるものだが、ついさっきまで自分も参加していた会社の花見宴会に、乗用車で“自爆テロ”を仕掛けるという社員には、さすがに仰天するしかない。
茨城県警境署によると、青木容疑者の逮捕容疑は、15日午後4時20分ごろ、坂東市逆井の運送会社社長、細野嘉夫さん(59)方の倉庫で、男性4人を車ではねて殺害しようとした疑い。
青木容疑者は、15日正午前から細野さん宅の倉庫で開かれた花見宴会に、細野さんの知人や会社の同僚ら15~16人で参加し、酒を飲み始めた。ただ飲み過ぎたのか、宴会の途中で青木容疑者は同僚らと口論になり、ときどき激高したような大声を出していたという。
ここで「帰れ!」「帰せ!」となったのか、同僚らは青木容疑者がすでに“泥酔MAX”と判断。午後3時半ごろに同僚女性の車で約5~6キロ離れた自宅まで送らせた。
しかし、青木容疑者は自分がつまみ出されたかのような状況に、腹の虫がおさまらなかったようで、午後4時20分ごろ、自宅から自ら運転(つまり飲酒運転!?)する乗用車で花見会場に炎のUターン。後片付けで10人ほど残っていた倉庫内にそのまま突っ込んだ。
境署によると、倉庫は社長宅の敷地に入って右奥約20メートルに位置しているという。このため車で敷地内に入ると、すぐに直角に曲がらなければならず、「突っ込んだときのスピードはそれほど出ていないと思う。せいぜい時速数十キロ」(捜査幹部)と話した。
青木容疑者の車は倉庫奥の壁にぶつかる前に止まり、最低1回は前進と後進を繰り返した。社員の知人男性(66)が脚の骨にひびが入るけがを負ったほか、29~65歳の男性社員3人が打撲などの軽傷。青木容疑者も手に軽いけがをした。
境署によると、青木容疑者は調べに「車で突っ込んだのは間違いない。人がいるのは分かっていた。どうなっても構わないと思った」と供述する一方で、「会社に不満があった」とも話しており、何らかのトラブルがあったとみて、詳しい動機を調べている。
(紙面から)