東日本大震災:「幅広く被災者支援を」 ジャーナリスト・江川さんが思い代弁、中京区で講演会 /京都
毎日新聞 2012年04月16日 地方版
東日本大震災の被災地で継続的に取材を続けるジャーナリスト、江川紹子さん(53)の講演会(かもがわ出版主催)が15日、京都市中京区の京都アスニーであった。約200人の参加者を前に江川さんは「地元では避難者を受け入れた側の住民にも不満が高まっている。長期的災害ほど、幅広く被災者を支えなければならない」と訴えた。
講演で江川さんは、原発事故の避難区域の福島県双葉郡内から多くの住民が移り住む同県いわき市で、避難の長期化を想定し役場や被災者を集団移転させる「仮の町」構想が浮上していることに市民の困惑が広がっている実情を紹介。急激な人口増加で、ごみ処理や病院の混雑、高校受験など、生活にひずみが生じ「受け入れた側の市民がデメリットを感じている」と背景を指摘し、「周辺住民にも被災者感情があり、避難者と変わらぬ気配り、配慮が必要だ」と話した。
原発事故後のエネルギー問題については「『即原発停止ではない』と言えば推進派と言われ、非難や対立、レッテル張りが起こっている。生産性のないののしり合いよりも、立場の違いを認め合いながら、なるべく安全で豊かな社会を模索したい」と話した。【五十嵐和大】