経済の死角

スクープ 36億円だけじゃなかった
清原の父親にまで「毎月100万円」払っていた巨人軍

2012年04月17日(火) 週刊現代
週刊現代
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 開幕から1勝5敗。巨人軍のスタートダッシュの失敗は一連の金銭疑惑報道と関連しているのかもしれない。選手も気が乗らないし、気が気じゃない。問題がないと言うなら、全て公けにしてはどうか。

ウラ契約

 朝日新聞は入手した内部文書に基づき、二岡智宏、阿部慎之助、高橋由伸ら巨人軍の6選手の実際の契約金額や、細かな支払い方法まで詳細にスクープした。

 その総額は36億円にも及ぶ。

 暴露された読売側は朝日に何度も「質問状」を送りつけ、「(記事は)読者を誤導するもの」などと批判している。4月4日付朝刊では、〈朝日の回答「極めて不誠実」契約金報道で巨人がコメント〉という記事を掲載、翌5日にも続報を載せた。

 いままでウラ契約を隠し通してきた巨人が、スクープした朝日に逆ギレし、「偏向記事」だと批判しているわけだ。

 スポーツライターの玉木正之氏はこう話す。

「読売は、『契約金の最高標準額は規約ではなかった、だから発表する必要もない』と主張している。その主張自体はいいとしても、そもそもそれを規約・ルールにしていないこと自体が正しくないんです。

 本来、契約についてはすべて表に出さなければいけない。公共の文化である野球で動いているカネを、隠してはいけないんです。たとえば、阿部慎之助が10億円もらっていたことがきちんと公になっていれば、寄付をするとか、社会的責任とかいろんなことができる。その意味で、読売も情けないし、それを主張できない朝日も情けない」

 ファンから集めたカネで運営するプロ野球球団・選手は、経理をガラス張りにすることが期待されている。しかし、逆指名制が導入されて以降、「秘密契約」が常態化した。

「巨人などが主張して'93年にドラフトの逆指名制度が始まってから、有望選手には密かに巨額の契約金を提示し、札束にモノを言わせて獲得するのが常識になった。巨人だけでなく、資金力のある球団は多かれ少なかれ秘密契約をやっていた」(スポーツ紙デスク)

 しかし、際限なきマネー戦争は、'04年8月に大きな転機を迎える。

 明大・一場靖弘投手に「栄養費」名目で現金を渡していたことが発覚し、巨人・渡邉恒雄オーナー、三山秀昭球団代表らが辞任した。その後阪神、横浜もカネを渡していたことが発覚してオーナーが退任。各球団が選手に払うウラ金はこれ以降、大幅に減ったという。

 '05年には各球団が「倫理行動宣言」に合意し、'06年には逆指名が名前を変えた「希望入団枠」制度も廃止された。

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