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被災地の児童、発育に変調 日本成長学会が宮城で調査

 宮城県内の津波被災地で、発育に変調をきたす児童が目立っていることが、日本成長学会(東京)の調査で分かった。体重が十分増加していなかったり、急激に増加したりする児童が多いという。心理的なストレスが原因と考えられ、同学会は「発育への影響は長く続く。今後も注意深く観察する必要がある」と訴えている。

 調査したのは、同学会の「東日本大震災が小児の成長に与える影響検討委員会」。津波被災地の小学校の協力を得て、昨年4、8月と、ことし1月に身体測定した児童100人のデータを収集、分析した。
 その結果、低学年では発育期にもかかわらず、少なくとも20%以上の児童に体重の減少、停滞がみられた。2年生女子の体重は1年間で平均3キロ増加するとされるが、昨年8月からことし1月までの間に1.2キロ減少した女子児童もいた。
 中・高学年では、逆に震災後に肥満傾向が表れた児童が10〜15%に上った。5年生男子の年間の体重増加は平均4.2キロとされているが、ある男子児童は10カ月で、体重が8キロ以上増えた。
 検討委員会は各小学校に調査結果を伝え、該当する児童の心のケアに役立ててもらうことにしている。
 日本成長学会は1995年の阪神大震災でも児童の体位変化を調査。震災時の精神的なストレスや、被災生活による運動不足が要因となって、発育に大きな影響を及ぼすことを確認している。
 検討委員会は今回の調査結果から、被災地全体では成長に影響が出たり、影響が疑われたりする児童が2割を超えると推測している。
 検討委員会の副委員長を務める東北大大学院歯学研究科の佐藤亨至非常勤講師は「震災から1年未満の時点でも、通常では考えられない数値が出た。児童のケアには早期発見が欠かせないので、被災地の小学校は身体測定の結果を注意深く見てほしい」と呼び掛けている。
 日本成長学会は、被災地の小学校の発育調査を受け付けている。連絡先は学会事務局(たなか成長クリニック)03(3708)3939。


2012年04月17日火曜日


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