カンボジア、ミャンマー、スリランカ、バングラデシュなどでも最近ストライキが続発し、労働者が最低賃金の引き上げを叫ぶようになっている。
先が読めないミャンマーでのビジネス
「ローソン、ミャンマー出店」――。
4月5日、日本経済新聞は民主化を睨んで先手を打つローソンの出店計画を1面で報じた。
2011年3月の民政移管以降、ミャンマーは民主化を急速に進展させている。それを受けて、日本の外務省はミャンマーの経済改革支援のためのプログラムを開始。民間企業も訪問団を組織して送り込むなど、積極的な交流を始めている。
人口が多いミャンマーには、生産拠点としてのみならず市場としても魅力がある。だが、「さあ、ミャンマーに行こう」となると、これは別問題だ。
かつてミャンマー大使館に駐在していた官僚はこう語る。
「確かに政治的な状況は変わった。円借款も動きだしインフラビジネスなどはやりやすくなっただろうが、工場を操業する経営者にとってビジネス環境が劇的に変わったわけではない」
しかもミャンマーはASEAN加盟国の中で「経済レベル、所得水準ともに底辺」である。また、諸々の経済発展計画はあれど政府の実行部隊が力不足のため、すべて実現するのは難しいとも言われている。
長い目で見て工場を経営しやすいのは中国
世界の「最貧国」の1つであるバングラデシュも、ユニクロの進出で注目が集まる。前出の縫製加工大手、小島衣料もここで工場を稼働している。関係者は「バングラデシュの賃金は人民元にしたら200~300元程度。その安さは輸送コストを打ち消して余りある」と打ち明ける。
だが、実際のビジネス環境は厳しい。「慢性的な電力不足、大渋滞によるロジスティクスへの影響、役人の絶対的な不足、情報の入手が難しい点など、相当な覚悟を要する」と、ある日本のコンサルティング会社は指摘する。
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