「一般論として、ボールに手を出せば、不利なカウントで勝負をすることが多くなり、また、難しい球に手を出して凡打にもなる――」
9月23日、テキサス。
残暑というよりは、まだ夏真っ盛りという強い日差しが、グラウンドを照りつけていた。
■ボール球に手を出す確率は過去最悪
打撃練習が終わり、人気のなくなったダッグアウトで、マリナーズのクリス・チャンブリス打撃コーチと肩を並べた。
イチローの不振についてはこれまで、嫌というほど質問をされてきたはずで、声を掛けただけで何かを察したような眼差しをこちらに向けた。それでも、示したデータに興味を持ってくれたのか、やがて、一つ一つの質問に対する答えが長くなった。
示したのは、イチローのボール球に手を出す確率だ。今季は過去ワーストの36.2%で、シーズンの最多安打を記録した2004年の16.6%と比べると、倍以上となっていた。過去2年も32.1%、35.6%と高いが、今年はさらにその傾向が強まっている。
■5月下旬には40.4%にも
どんな影響があるのか――という問いには、冒頭の一般論しか返ってこなかったが、もう少し具体的な数値を示すと、ノートの上のそれを指で追った。
イチローが「苦しかった」と振り返った5月は36.7%で、打率が下降していった5月16日から31日までの15試合では40.4%という高率になっていた。この間の打率は1割8分6厘(59打数11安打)である。
米国での開幕前日のことになる。
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