その言葉からは、200安打が途絶えるリスクを承知しながらも、何かを模索していたことがうかがえる。
その具体的な内容については口にしなかったものの、先のキャリアを見据えた時に必要なものを収集していたようで、それは10年という区切りを達成して、彼が得た権利ともいえた。
■「人って難しい」
そんな一方でイチローは、手に負えないものを抱え込んでいたようでもある。
「それがプレーに反映したかは別の問題」としつつも、「人って難しい。永遠のテーマなんですよね。すごく嫌な生き物の部分もたくさん見るし」と、うつむいた。
「多分、今年も200を打ったら、『スゲー』ってなったと思うですよね。でも、やらないと『なんだこのヤロー』って猪木さんぽくなるじゃないですか(笑)。それが不思議というか、難しいところ、人間のいやなところ。0か100かって考え方。想像していたけど、やっぱりそんな空気だなと思います」
■言葉を発信することにもためらい
言葉を発信することにもためらいが出た。来季以降の200安打との付き合い方を問われると、「その可能性を生み出せる状態でありたいなと思います」と慎重な言い回し。その理由をこう説明している。
「これはリスク回避(笑)。去年ぐらいそうなんですけれど、先の未来を言わないほうがいい。今年だって、実際、一度も僕、200って言ってないんですけれど、アメリカ人の記者がバンバンきたもんね。言ったら言ったで自分勝手といわれるし。(だから)『ぼくはそれを言いませんよ』ってなるでしょ? それはリスク回避なので、そういう術はね……」
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