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スポーツ
【世界体操】史上初の快挙達成の内村、伝統守る稀代のオールラウンダー
2011.10.14 21:38
[体操]
日本の男子体操界には1つの価値観が根付いている。全6種目をこなす「オールラウンダー」が尊敬を集め、多くの名選手を輩出してきた。史上初の世界選手権個人総合3連覇を果たした内村航平(コナミ)もまた、伝統を色濃く受け継ぐ。
内村が口癖のように繰り返す。「6種目やってこその体操」。得意の床運動、鉄棒はもちろん、残る種目も、そつなくこなす。今大会では団体予選、決勝ともに全6種目に出場した。種目別でも跳馬を除く5種目で決勝進出の8人に残った。
日本は五輪、世界選手権で7人の男子個人総合王者を輩出している。五輪では1964年の東京五輪で金メダルに輝いた遠藤幸雄を皮切りに、加藤沢男、具志堅幸司の3氏。世界選手権では監物永三、笠松茂、冨田洋之の3氏と、内村だ。
日本選手の特徴は「美しさ」にある。2004年アテネ五輪団体総合金メダリストで、現在、専任コーチを務める冨田氏は「つま先、指先まで気にして、日本は練習からどの国よりも繊細な技術をやっている」と、他国との違いを指摘する。
「オールラウンダー」受難の時代といわれる。2006年に採点が10点満点法から変わり、現在は技の難度に応じて得点が決まるDスコア(演技価値点)、10点満点から演技の出来ばえで減点するEスコア(実施点)の合計点になっている。
高難度の内容をどれだけ完璧にできるかが問われる採点で、6種目を高いレベルでそろえることは極めて難しい。中国などでは1種目に特化した「スペシャリスト」を育成する潮流が生まれ、各種目のレベルは日々高まる傾向にある。
それでも冨田専任コーチはいう。「中心に6種目を行う価値観があり、その先に種目別、という形は維持して欲しい」。個人総合を制した内村が、日本の伝統を世界に示した。(榊輝朗)
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