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防衛省内 発射情報の評価で混乱
4月15日 19時12分

防衛省内 発射情報の評価で混乱
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13日に北朝鮮が発射した事実上のミサイルについて、アメリカから伝えられた第一報が「誤報の可能性もある」という見方が、防衛省内の一部で一時広がっていたことが分かりました。
情報の評価を巡るこうした混乱が政府内部の情報伝達や公表時期に影響を与えた可能性もあり、防衛省は当時の状況を詳しく検証しています。

今回の発射を巡って防衛省は、アメリカ軍から伝えられる情報だけでなく、自衛隊のレーダーやイージス艦から得られる情報で「ダブルチェック」する方針で臨みました。
防衛省によりますと、アメリカの早期警戒衛星が発射を探知したのは13日午前7時40分ごろで、この第一報は防衛省地下の中央指揮所にも直ちに伝えられました。
しかし、まもなくミサイルは上空で爆発し、日本のレーダー網が探知できる範囲まで飛んでこなかったため、防衛省としては「ダブルチェック」で「発射の確認」を取れない状態が続きました。
こうした状況のなかで、中央指揮所の内部では「発射されたのは別の短距離ミサイルではないか」とか、「別の発射実験ではないか」などという臆測が広がったということです。
第一報から20分余りたった午前8時すぎには、部隊の運用や情報分析に携わる部門で、「発射情報は誤報の可能性がある」とメールで周知されていたことが防衛省関係者への取材で分かりました。
第一報から30分が経過した午前8時10分ごろには、ミサイルの断片が落下した位置や数などについてアメリカ軍から詳細な情報が寄せられ、「発射は事実だが失敗に終わった」という見方が強まったということです。
田中防衛大臣が「発射されたという情報を得た」と発表したのはそのあとの午前8時24分でした。
防衛省内部でのこうした情報の評価を巡る混乱が政府内部の情報伝達や公表時期に影響を与えた可能性もあり、防衛省は当時の状況を詳しく検証しています。

なぜ探知できなかったのか

今回、北朝鮮が発射したミサイルは、事前に国際機関に通知された内容から、韓国沖の黄海や沖縄県の先島諸島、フィリピン・ルソン島沖の太平洋の上空を通過するとみられていました。
このため防衛省は、弾道ミサイルを追尾することができる海上自衛隊のイージス艦を、沖縄周辺の東シナ海に2隻、日本海に1隻、展開させたほか、鹿児島県などに配備した高性能レーダーを活用して探知や追尾を試みようとしました。
これらのレーダーは、数百キロから1000キロ以上離れた場所でのミサイル発射を探知し、航跡を追尾する能力があるとされています。
しかし、ミサイルが水平線の向こうから姿を現し、ある程度の高さまで上昇しなければ、探知・追尾することはできません。
今回のミサイルは高度百数十キロメートルで爆発したとみられ、自衛隊のレーダーの位置から見れば、探知できるだけの高度にまで上昇していなかったとみられています。
アメリカ軍は、今回予想された飛行コースの周辺海域にイージス艦およそ10隻を投入し、このうち2隻を朝鮮半島西側の黄海に展開させました。
黄海には、韓国軍もイージス艦1隻を配備し、米韓両国のイージス艦3隻は、発射場から比較的近い場所に展開していたため、発射直後の高度の低い段階でもミサイルを探知できたものとみられています。
これらの情報は、日本にも提供されましたが、防衛省・自衛隊独自では探知や追尾をできなかったため、結果として、情報の確認に時間がかかったものとみられています。

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