「実現に向けてエネルギーを集中させなければいけないから、国政だのをやっている暇はなくなると思う」。
大阪都構想を目指す「大阪維新の会」代表の橋下徹・大阪市長が3月8日、大阪市政担当の記者に対して、維新の会の国政進出についてトーンダウンしたと受け取れる発言をしたことが依然、憶測を呼んでいる。
橋下氏は、次期衆院選で維新の会から300人を擁立し、200人の当選者を目指すと公言。公募で選んだ政治塾の受講者約四百人から候補者を最終選考する段取りにしている。しかし、政党要件を満たしていない「維新の会」から立候補するには、供託金を含めて1,500万円の選挙資金を各候補者が自前で準備するか、スポンサーを探す必要がある。
もっとも、橋下氏も本音では、300人擁立が困難なことは十分承知しているとされる。橋下氏には、それ以上に深刻な問題があるようだ。
橋下氏に近い野党関係者の1人は、「橋下氏にとって最大の悩みは、大阪市の特別顧問として迎えた中田宏・前横浜市長と、山田宏・元東京都杉並区長の存在だ」と指摘する。もっとも橋下氏は、両氏が次回選挙で維新の会から出馬して国政復帰を果たすことも織り込んでいたはず。
しかし、ここへきて、「国会活動は事実上、中田・山田両氏が牛耳ることが想定されることが大きな懸念材料になりつつある」というのだ。
既成政党の中では政策的に最も近いみんなの党と維新の会が連携した時、同党の渡辺喜美代表と中田・山田両氏との間で主導権争いが生じ、都構想そのものの実現が危うくなる事態も想定される。それならば、今国会中に都構想実現に向けた地方自治法改正案が成立するほうがいいと考えたとしても不思議ではない。
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野田改造内閣で副総理となった岡田克也氏が米国のオバマ政権から高評価を得ている。特に、TPP(環太平洋連携協定)交渉参加問題への取り組みで評価が高い。入閣前、民主党内のTPPプロジェクトチームのトップとして、各関係団体からヒアリングを進め、党内論議をまとめた手腕を評価している。
さらに、外相時代にはイランを訪れ、ラリジャニ国会議長と会談した。イランの核開発問題について、面と向かって「国連の安保理が新たな制裁決議を採択する場合、日本も従わざるをえない」と述べ、イランの核開発を容認しない考えを伝えた点も米政府を喜ばせた。
ある外務省幹部は「岡田氏が行ったこれらのことが底流にあるので、今回の在日米軍再編の見直しでも、米側に一定の『日本配慮』がうかがえる」と解説する。岡田氏は普天間飛行場移設問題で、外相時代は嘉手納基地統合案に言及していたが途中で封印し、その後、辺野古移設の現行案受け入れを表明している。
外務官僚は「オバマ大統領と岡田副総理の関係は、互いに波長が合うというのではない。オバマは岡田氏のような仕事師が大好きなだけだ」と分析している。
その岡田氏は、消費税増税法案の成立のため自民党幹部に大連立を打診した。しかし、自民党との波長はオバマ大統領とのようにはいかなかったようだ。
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4月26日に判決が出る小沢一郎・元民主党代表の強制起訴・政治資金規正法違反事件で、「1審は有罪の可能性が濃厚では」(自民党幹部)との見方が永田町で広まりつつある。公判での特捜検事の捏造調書が証拠不採用となるなど、これまで勢いがあった「無罪論」とは真逆の見方となる。
「小沢有罪説」の根拠の1つは、検察官役の指定弁護士が、小沢氏が銀行からの4億円の融資承諾書に自筆でサインしている点や、この融資の利息として450万円を支払っている点、小沢氏と秘書軍団との強固な師弟関係などの状況証拠を積み重ね、有罪立証の柱としたことだ。
「つまり状況証拠の積み重ねと、証拠採用された一部秘書の証言などで、有罪を勝ち取れる。“登石判決”が出たのも大きい」(全国紙司法記者)。
この“登石判決”とは、昨年秋の小沢氏の元秘書、石川知裕・民主党代議士のやはり政治資金規正法違反事件の判決で、東京地裁の登石郁郎・裁判長が、数々の状況証拠を積み重ねれば「犯行があったことは『推認』できる」として、石川議員に懲役1年、執行猶予2年の有罪判決を言い渡したことである。
たしかに、状況証拠・間接証拠をもとにした「推認判決」の考え方を踏襲するとすれば、「弁護側は、サインや怪しげなお金の動かし方、それに巨額の利子をなぜ払ったのかなどの理由を明解に述べない限り、苦しい立場にもなりかねない」(東京第一弁護士会幹部)。
さらに、こんな皮肉な見方もある。
「小沢さんが無罪なら、冤罪だったとして党内の権力闘争に即時参画だ。だけど、本当に党内闘争に勝てるかね? それなら有罪で裁判が足枷だったと言える現状がまだいいのでは」(永田町筋)
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米国のイラン制裁に伴い、わが国の輸入量の約1割を占める同国産原油の禁輸を迫られる日本政府。数量削減によって制裁の例外措置を確保し、輸入を継続したいところだが、米国がそれを認めても、現実にはタンカーは動かなくなる。原油流出事故が起きた際の賠償責任を担保する日米欧の船主責任保険(P&I保険)が機能しなくなるからだ。
世界に13組合あるP&I保険は、EU11、米国1、日本1の組合が「国際P&Iクラブ」を組織し、相互の再保険契約で海難事故費用を補填する仕組み。油濁事故の場合、最大10億ドルの保険金が下りる。ところが、7月1日のイラン制裁発動に伴い、米国とEUは同国産原油への保険適用を停止すると表明、わが国の海運業界から悲鳴が上がった。タンカー最大手の商船三井は「P&I保険が使えなければ、とてもホルムズ海峡は航行できない」(幹部)という。
慌てた国交省は、経産省へ貿易保険で代替できないかと打診したが、輸出入信用リスクを補完する貿易保険はP&I保険と性格が異なる。そもそも原油流出の損害額は膨大で、1989年に「エクソン・バルディーズ号」が起こした過去最大のタンカー事故では25億ドルに達した。
ある石油元売りの幹部は「P&I保険の問題は事前に予想できたこと。が、経産省は東電の原発事故以来、天然ガスの輸入しか念頭になく、石油を軽視してきた」と批判する。
経産省はやむなくエネ特会を原資に、P&I保険を代替する基金の創設の検討に入ったが、制裁発動までに間に合いそうにない。政府の泥縄式の対応には呆れるばかりだ。
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米軍普天間基地の移設をめぐる事態がより複雑化してきた。日本政府要人による沖縄訪問では毎回、「普天間基地の固定化はない」とされるものの、現在日米審議官級協議では、普天間基地の今後の使用に必要な大規模補修工事の費用分担が話し合われている。また、普天間基地の海兵隊を所管するレイモンド・メイバス米海軍長官は「移転先が決まるまで普天間は使い続ける」との発言を続けている。こうした状況に加え、移設先とされる名護市辺野古周辺の土地が、中国資本とみなされる外国資本によって買収交渉が進められているとの新たな事実が明るみに出た。
日米の政府間合意では辺野古移設を決めているが、米軍事予算の決定権を握る上院軍事委員会や沖縄の有力政治家の間では、普天間への固定化をなくすには米軍嘉手納基地への統合が現実的だとの意見も強まっている。その代表格が、沖縄選出の下地幹郎・衆議院議員だ。
嘉手納基地は現在、米空軍が管理しているが、今後、米軍内で調整がつけば、海兵隊を嘉手納基地内に受け入れることも可能だ。この統合案の最大のネックは騒音対策だが、米軍と日本政府は今後、最大の騒音の原因とされる垂直離着機V22オスプレーを、嘉手納基地ではなく当面、本土への配備とする予定だ。
一方で問題を複雑にしているのは、下地氏が次の沖縄県知事選に意欲を見せていることだ。そのため2期で引退とされてきた中井真弘多知事にもう1期との話も。県外移設にこだわるか、普天間基地の固定化を避けるのか、大きな決断を迫られている。
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防衛省は航空自衛隊の次期戦闘機(FX)に決まったF35(米ロッキード・マーチン社)の価格上昇を認め、予定通り、来年度予算で4機購入する方針を固めたことが分かった。3機種が競ったFX選定は価格が重要なポイントだったにもかかわらず、「F35欲しさ」から米国の言い値で購入するとみられる。
防衛省はFX選定時に、米国から示されたF35の機体価格1機99億円(初度部品含む)で4機分395億円の購入費とシミュレーター購入費など205億円の合計600億円を来年度防衛費に計上している。
しかし、米政府が2月に発表した2013年会計年度国防予算案によると、米軍の調達価格は日本より高い1機122億円。米政府の武器売却は米国内法の武器輸出管理法の規定により、米軍の調達価格より高く売ることを義務付けているため、日本向けF35は少なくとも122億円以上となる見通しとなった。
この価格を認めた場合、落選した他の航空機メーカーからクレームがつくだけでなく、来年度予算案を見直す必要が出てくる。国会では自民党から「選定が不透明」との批判があり、防衛省は価格、納期など選定時の条件を守るよう米政府に親書を出すなど、「専守防衛」に懸命だ。
田中直紀・防衛相は国会で「価格が上がっても予算内なら問題ない」と、1機150億円までの値上がりを容認するかのような答弁を繰り返すマイペースぶり。防衛省幹部は「予算には操縦士の訓練費も含まれており、機体購入費に回すわけにはいかない。それに10億円以上も高騰した場合、国会を乗り切れるのか」と言う。「F35ありき」のFX選定、足元を見られた防衛省は米国の言いなりとなるほかないようだ。
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東証・大証統合後の子会社、トップには奥田氏就任か? |
東京証券取引所と大阪証券取引所が来年1月に経営統合し、持ち株会社を設立。その傘下に事業子会社として「現物」「デリバティブ」「決済」「自主規制機関」の4つを設ける方針で、その人事が注目されている。
東証の斉藤惇社長は持ち株会社の最高経営責任者(CEO)、大証の米田道生社長が最高執行責任者(COO)となる予定。問題は事業子会社の人事。特に注目されるのが、現物株を扱う子会社のトップだ。
今回の東証と大証の統合は、合併を通じて巨大化する海外の証券取引所に対抗する目的を達成するためには、「日本株の取引高で六割を占める外国人投資家や日本の企業などに対して、使い勝手をいかによくするか」(大手証券アナリスト)という。そこで現物株を扱う事業子会社のトップに「東証などのユーザーである企業経営者が適任」(東証幹部)という声が高まっている。
その最有力候補として名前が挙がるのがトヨタ自動車の元社長の奥田碩氏。奥田氏はシステム障害などを受けて急遽登板した東芝元社長の西室泰三氏が東証社長を引き受けた時から東証の役員として「国際競争力強化のためにいろいろ提案してきた」(同)。「実家も証券会社ということもあり、株取引などに詳しい」(大証幹部)とされる。「トヨタを率いた企業経営者としての経験や取引所のユーザーとしての要望を加味した経営改革などに期待したい」(同)と、奥田氏の手腕を推す声は多い。
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米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスにこのほど1段階格付けを下げられ、投資適格級の最低水準となった野村ホールディングス(HD)。格下げの理由は「欧州市場の低迷や先進国の金融規制の強化、投資銀行ビジネスの収益力の低下」(ムーディーズ)とされる。
最大の問題とされるのが海外事業だ。2008年に経営破綻したリーマン・ブラザーズの欧州部門とアジア部門を買収したものの、「人材・組織の融合がうまく進まず、機能不全に陥っており、有能な外国人スタッフが相次いで野村を離れている」(同)という。国内でも昨年は新日鉄住金の大型合併案件で計8社の証券会社が助言業務を獲得したが、唯一、野村だけが助言契約を逃すなど、「外資系や銀行系に軒並み大型案件を取られている」(大手証券アナリスト)。
一方、株価で400円前後をさまよう野村HDに地力で勝るJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなどが「野村HDの経営権取得に動き出している」(海外大手投資銀幹部)という。厚い顧客基盤を持ちながら経営統合など助言契約をなかなか勝ち取れない野村HDに対し「大きな商機を抱える潜在力は魅力」(JPモルガン幹部)のようだ。
日本のメーカーも「リーマンの買収でもなかなか海外での助言業務で有効な助言がない」(国内大手メーカー幹部)とされる野村HDに「愛想を尽かしている顧客は多い」(JPモルガン幹部)。今後、課題の海外業務をどう立て直すか。それに手こずれば海外勢の軍門に下りかねない。
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東京電力に対する「包囲網」が強まっている。急先鋒の枝野幸男・経済産業相に続き、東京都の猪瀬直樹・副知事も参戦し、東電の旧態依然の体質を批判、さらなるリストラを迫っている。
都庁関係者らの話を総合すると、猪瀬副知事の背中を押したのが枝野経産相といわれる。「枝野経産相が自ら猪瀬副知事に電話をかけ、『橋下徹・大阪市長が関電とバトルを演じているように、電気料金問題で共同戦線を張りたい』といった合意が両者でなされた」(関係者)。
この電話を機に行動を開始した猪瀬副知事のもとに送り込まれたのが、資源エネルギー庁の電力・ガス事業部のK課長だ。もちろんこれは、枝野経産相の意向を受けてといわれる。「K課長の進講があり、猪瀬副知事は東電批判の自信を深めた」と都庁幹部は説明する。その後、グループ会社の資産内容を明るみにするなど、東電を激しく攻め立てる猪瀬副知事の後ろには、枝野経産相、そして資源エネルギー庁幹部の姿が透けて見えてくる。
そして、3者の関係が如実に表れたのが、都が中部電力に電力の供給を求めた1件だ。火力依存度が高く、他の電力会社に比べればやや余裕がある中部電力だが、この夏は関西電力など西側エリアに電力融通することが避けられない。そんな事情を理解する猪瀬副知事は中電に断られるのを承知で要請し、そして想定通りに断られている。
この結果を受けて、今度は枝野経産相が3月6日に開かれた経産省の「電力改革システム専門委員会」に急遽、猪瀬副知事を招き、演説の場を提供した。委員会は非公開だったが、猪瀬副知事の演説だけはなぜかマスコミにオープンにされている。
東電という絶好のターゲットを得て意気軒昂な猪瀬副知事。エネ庁幹部がその足元を照らし、さらに枝野経産相が背中を押すという図式になっているようだ。
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三菱製紙は今夏、本社を東京千代田区丸の内から墨田区両国に移転する。JR有楽町駅から歩いてすぐの“三菱村”から、隅田川を越えてJR両国駅を挟んだ国技館の反対側へ。賃貸料の大幅削減が狙いで、業績低迷に悩む同社にとってはやむをえない措置だが、社員からは「都落ちは嫌だ」との嘆き節が聞こえる。
同社の2012年3月期の連結業績の予想数値は売上高が前期比5%減の2,000億円、最終損益はゼロ。東日本大震災による津波の影響で主力の八戸工場(青森県八戸市)が浸水し、前期は145億円の巨額の最終赤字を出している。復興費用の大半を銀行からの借入金で賄うため、財務体質は悪化。20%強あった自己資本比率は15.9%まで低下した。
本体に加えて関連子会社も一緒に引っ越しすることで1,000万円を超えるオフィス賃料を圧縮できる見込みだ。さらに文京区湯島にある社宅および研究施設の建物と土地を、三菱地所レジデンスに約19億円で売却する。
ただ、社員の心中は穏やかでない。同社の創業は明治31年、岩崎一族が立ち上げた三菱グループ祖業の1つで「プライドだけは王子製紙や日本製紙を上回る」(業界関係者)。旧三菱財閥系28社の懇親団体「金曜会」にも参加しているのだが、「(丸の内界隈の)三菱村にいないだけでも金曜会メンバーとしては恥ずかしいのに、山の手線の外に出るなんて…」(中堅社員)との声も。しかし金曜会御三家の1社、三菱商事の幹部からは「われわれがかつて提案した北越製紙(現北越紀州製紙)との事業統合に乗っていれば、こんな惨めな思いをしなくて済んだのに」と冷笑が漏れている。
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「やっぱり儲け第1主義の会社か」といわれても仕方ないだろう。
昨年3月11日の東日本大震災で空港ビルの1階天井近くまで浸水する被害となった仙台空港は、復旧までに1年はかかるといわれていた。しかし、早くも翌月の4月13日にはJAL(日本航空)が最初の臨時便を飛ばし、同じ日にANA(全日本空輸)も臨時便を就航させた。7月25日には国内定期便が復活し、9月25日には国際定期便も就航するようになり、空港ビルも完全復旧した。関係者の“執念”で実現した、まさに奇跡の復旧だった。
そうした中、スカイマークも昨年4月5日、2012年3月から仙台と札幌(新千歳)、神戸、名古屋(中部国際空港)を結ぶ路線を開設すると表明した。仙台空港復旧と東北の復興を支援する姿勢を見せたわけで、それは大いに評価された。
ところが、その後に延期を表明し、当初の就航開始予定だった今年3月になっても、「調整がついていない。いつから就航するという見通しは立っていません」(スカイマーク広報担当者)という状況なのだ。
これに不満の声が上がっている。
もともと仙台空港は、新幹線との競争が激しいところである。便利さからいえば新幹線のほうが上で、航空会社には苦戦を強いられる空港といっていい。利益を優先させれば二の足を踏むのも無理はない。しかし、それは最初から分かっていること。表明だけしておいて後は知らんぷりでは、「ただの儲け第1主義会社」といわれても仕方あるまい。
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日本の造船大手が抱える受注残がゼロとなる事態も想定される造船業の「2014年問題」が、日増しに現実味を帯びてきた。
それを象徴するように、JFEホールディングスとIHIは今年1月末、両社の造船子会社を今年10月に経営統合することで合意した。実は両社は2008年4月に交渉入りしながら、リーマン・ショックを機にこの案件を白紙に戻した過去がある。それが、昨秋以降に交渉を再開し、わずか数カ月で合意にこぎ着けた。その対応ぶりは、造船各社の切羽詰まった状況を何よりも物語っている。
その一方で「それでも手ぬるい」とばかり、三菱重工業は文字通り「身を削る」覚悟の造船事業のサバイバル策を矢継ぎ早に打ち出した。同社は3月9日、商船建造で100年超の歴史を持つ神戸造船所(神戸市兵庫区)で最後の商船の進水式を挙行。これで同社は同造船所での商船建造から6月に撤退し、商船建造を長崎造船所(長崎市)と下関造船所(山口県下関市)の2拠点に集約する。
しかし、同社の造船事業の生き残り策はこれにとどまらない。昨年12月、インドの造船会社L&Tシップビルディングへの造船設計技術供与に踏み切り、今年3月12日には、中国の太平洋造船(上海市)にばら積み運搬船の建造技術を供与、共同開発すると発表した。中国勢は韓国勢と並び低コストで日本の造船業界を窮地に追い込んだ元凶で、ライバルに塩を贈る“禁じ手”に映る。
ただ、「世界の新建造船受給バランスは大きく崩れ」(日本造船工業会)、欧州債務危機を背景に受注の冷え込みが予想される。JFE、IHIが選んだ道も業界再編の序章にすぎず、三菱重工の選択も生き残りの決め手には欠ける。まさに日本の造船業界は風雲急を告げている。
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欧州危機が一服し、米景気が復調していることを背景に、円安・株高基調が続いている。しかし足元では、欧州域内銀行の資本不足と、日本国債の利回り上昇という2つのリスクが顕在化しつつある。
資本不足の欧州域内銀行は、6月までに中核的自己資本比率を9%にするよう迫られている。だが、信用不安で資金調達力が低下し、自力で比率を上げるには分母に当たる資産の売却や融資の回収しか残されていない。そうした資産圧縮に伴い貸し剥がしの恐れもある。特にアジアは期限が1年以内の与信が6割を超え、借り換えに応じないなど、資金逃避の不安は新興国経済に冷や水を浴びせかねない。
長期金利の上昇も懸念材料だ。現在、リスクオン(選好)の流れを受け、資金は相対的に安全な日本国債から株などリスク性資産に流れており、長期金利は1%を超える状況が続いている。邦銀はバーゼル3への対応として株を削減し国債を増やす傾向を強めているだけに、金利上昇(価格は下落)は多大な減損損失として表面化する。日銀によると、大手銀行と地方銀行の保有債券は金利が1%上昇すると、それぞれ合計で3兆円前後の評価損が発生する。
今後は経常収支の悪化に伴い、国債格付けの引き下げも想定される。国債が暴落すれば経営は壊滅的になるだけに、「最近の金利の動きを注視している」(大手銀行首脳)という。欧州銀と国債のリスクは、単なる杞憂とはいえなくなっている。
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3月15日、国債先物相場がサーキットブレーカー発動寸前まで下落した。1月の経常収支が3年ぶり赤字に転落し、金融界が巨額な財政赤字を抱える日本の国債市場への影響を懸念している中でのことだ。その懸念を表したのが、全国銀行協会から2月下旬に公表されたリポート「国債市場の持続可能性」だった。
同リポートによると、国債残高の累積は2011年9月現在で、普通国債と財投債を合わせると約770兆円に達し、11年度の公的債務残高の対GDP比率は211.7%と、先進国中、最も高い水準まで悪化している。一方、国債の95%が国内で保有されており、国債の金利は今のところ低水準で安定している。しかし、少子高齢化の進行に伴い、この構図が崩れ、国債の持続可能性に影響を与えることが予想される。
日本の貯蓄の6割超は世帯主が60歳以上の高齢者が保有しているが、「高齢者世帯のうち7割を占める無職世帯は、1カ月平均の消費支出が約21万円であるのに対し、可処分所得は約16万円で、毎月の収支不足分は金融資産の取り崩し等により賄われている」。頼みの金融資産は減少し、経常収支が赤字に転落すれば、結果、資金不足分は海外から調達することが必要になる。
リポートでは、国債の多様性と流動性を高めること、30年債や40年債といった超長期国債の発行増や、安定的な海外投資家による保有の積み上げが重要と指摘している。世界各国の国債の信認が揺らいでいるが、日本の国債もその埒外ではない。昨年末にIMFが警告した「日本国債は先物から崩される」との指摘が現実味を帯びつつある。
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大阪府警など9府県警が総力を挙げて摘発している事件がある。
水資源詐欺──。
北海道や東北の風光明媚な水源のパンフレットを使い、「大手飲料メーカー向け水源に投資すれば、高い利回りの配当が出る」と言って勧誘、カネを振り込ませ、ある程度、金額がまとまったところで逃げる。「振り込め詐欺」の1種だが、この商法が全国にまたがり、組織化されたうえに、反社会的勢力(反社)と結ぶことが多いということで、合同捜査本部を設置、集中捜査に入った。
最初の摘発が昨年9月7日で、容疑が「水資源」であったことからその名がついたが、材料は、リゾート開発でも金山投資でも何でもいい。豪華パンフレットを使って“夢”を売るだけ。経費は、数カ月で閉じるレンタルオフィスおよび電話代と「売り子」への報酬だけである。
警察当局の追及はかなりしつこい。これまでに4回の連続逮捕があり、逮捕者は35人に達したが、今も捜査を継続している。それは、資金が業績不振企業の「怪しい増資」やクラブ経営、アダルトビデオなど風俗関係に回り、「反社」の活動を活発にしているからだ。
「本チャン」と呼ばれる暴力団構成員が捜査・行政当局の強力なプレッシャーにあえいでいる陰で、こうした「反社」の若手集団が徒党を組んで犯罪に走っているとみられるからだ。その動きを根こそぎ遮断しようというのが、水資源詐欺連続摘発の狙いなのだ。
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社外取締役バブルで潤う? 学者、弁護士、公認会計士 |
民主党の「資本市場・企業統治改革ワーキングチーム」(座長・大久保勉・政調副会長)は3月上旬、「公開会社法」の法制化案をとりまとめた。この法案は、民主党が政権交代を果たしたマニフェスト「政策集INDEX2009」でも取りあげられた施策で、独立した社外取締役選任の義務付けや、監査役に従業員代表を入れるなど、上場企業のガバナンス強化が目指されている。一方、法制審議会(法相の諮問機関)も昨年末に「会社法見直し」の中間試案をまとめており、両者はガバナンス強化で一致している。
しかし、会社法の見直し(公開会社法の制定)には悩ましい問題が残されている。特にメガバンクについては、ほぼすべての上場企業と何らかの取引があるため、利益相反を懸念されない企業が皆無といってよく、独立した社外取締役候補が限られるというジレンマがある。
このため、社外取締役には学者や弁護士が選ばれるケースが多く、公開会社法が施行されれば、さらにこの傾向は強まると予想される。まさに公開会社法による“社外取締役バブル”で学者や弁護士が潤う構図である。
しかし一方で、「企業経営の経験もなく、実務を知らない学者や弁護士が果たして社外取締役になって、オリンパス事件のような案件をチェックできるのか」(メガバンク)との意見もあり、その結果、公認会計士が登用されることになるかもしれない。いずれにしても、試験で合格者を出し過ぎて仕事にあぶれる弁護士や公認会計士にとっては朗報。「まさか公開会社法は、これら士業の救済措置ではないだろう」と揶揄する声すら聞かれる。
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日本は世界でも希に見る速度で「超高齢社会」に突入したが、高齢者の急増は医療に大きな変化をもたらしつつある。その1つが、整形外科分野における「ロコモティブシンドローム」(運動器機能低下症候群=以下、ロコモ)の創設だ。
頭はしっかりしているのに、歩行ができない、動けない、寝たきり状態になるといった、高齢者の運動障害は、本人のみならず周囲の介護者、さらには社会全体にとって大きな負担になっている。その原因となるのが、関節や脊柱の疾患、骨折などだ。整形外科は高齢者であふれ、人工膝関節手術件数は10年前の3〜4倍、脊柱管狭窄症や変形関節症などで受診する高齢患者は年々うなぎ上りで、高齢者医療費を押し上げる一因にもなっている。
ロコモは、運動器官の障害が原因で介護が必要となる状態と定義されている。高齢者のロコモを予防し、早期発見、早期治療することで、介護予防や重症化、寝たきり状態を防ぐのがロコモ創設の主旨だ。
日本整形外科学会では、ロコモの早期発見のための自己チェック法を作っている。主な項目は以下の通り。?片足立ちで靴下がはけない。?家の中でつまずいたり滑ったりする。?階段を上るのに手すりが必要。?横断歩道を青信号で渡りきれない。?15分くらい続けて歩けない。
この項目に1つでも当てはまれば、ロコモが始まっているということになる。思い当たったら、早めの対応が必要だ。また、自分で手軽にできるロコモ予防・改善策としては、毎日の「開眼片脚起立運動訓練」(片足立ち)と「椅子からの立ち上がりを含めたスクワット」。プール体操、転倒予防教室への参加、ウオーキングなどが有効だという。
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少子化の今、中高一貫校や高等学校が優秀な生徒を獲得する上で、大学進学実績を向上させることがこれまで以上に重要になってきている。とりわけ、翌年の応募者数の増減に直結する東京大学の合格者数の増減には、各校が神経を尖らせる。
そんな中、東大の前期試験の合格発表が3月10日に行われた。3,063人の募集人員のうち後期試験の定員は100人にすぎないので、前期の合格者数を見れば今年の趨勢は読み取ることができる。
高校別東大合格者数をしばらく見ていなかった人が驚きそうな数字から挙げよう。
まず、桐蔭学園(神奈川)の6人。一時は東大合格者ベストテンの常連高校で、1992年には114人を記録したほどの実績がある。それが、最盛期のほぼ20分の1にまで萎んでしまった。次に、武蔵(東京)の18人。現役に限れば6人。かつては、麻布、開成と並ぶ東京男子私立高御三家の筆頭として、生徒の2人に1人に当たる70〜80人が東大に合格していたが、見る影もない。100人を超えることが珍しくなかったラ・サール(鹿児島)も26人にまで減り、50〜70人程度が普通だった多摩の雄、桐朋(東京)も25人と淋しい結果だ。
これらの学校は、最盛期に比べて入学偏差値を大きく下げており、それに見合った合格者数といえなくはない。では、なぜ偏差値が下がったのか。それを解くヒントは少子化にある。すなわち、少なく生んで手厚く育てるという親の志向である。
その点で、武蔵や桐朋のような受験指導をしない自由放任的な校風は今のニーズに合わなくなっている。受験指導はするが1学年が1,200人もいる桐蔭学園は、子供が大事にされないのではないかという危惧を親に抱かせるようだ。また、子供を手許に置いておきたい親にとって、首都圏や関西圏から遠く離れたラ・サールも敬遠すべき対象になったといえよう。
一方、進学指導や生活指導が手厚い、いわゆる面倒見がいい私立高校が実績を伸ばしている。攻玉社(東京)19人、世田谷学園(東京)12人はともに過去最高だ。92年には78人の合格者を出しながら、1昨年は16人にまで合格者を減らしていた巣鴨(東京)も40人にまで復調。厳しい指導で知られ、偏差値がはるかに高い学校をしのぐ結果を出し、今春の中学入試でも応募者を大きく増やしていた。
名門公立高校が復活しはじめたのも今年の特徴である。県立浦和(埼玉)が39人、県立千葉(千葉)が31人と、ここ十数年で最高の数字に達し、湘南(神奈川)も20人と、二十数年ぶりに大台に乗せた。各県とも、数年前の学区撤廃と不景気と相まった効果とみるべきだろう。同様に学費がかからないという点では、公立の中高一貫校である都立の小石川と桜修館の両中等教育学校のそれぞれの第1期生が、4人、3人と東大合格者を出した。
変わりどころでは、トヨタ自動車やJR東海、中部電力など中部産業界が出資して開校した海陽中等教育学校(愛知)の第1期生が、いきなり13人合格した。だが、年間300万円という学費のためリーマン・ショック以後は応募者が減っており、来年以降が正念場だろう。大震災で被災し、原発事故の混乱に巻き込まれた県立福島高校は、昨年の6人から今年はゼロ。気の毒ではすむまい。
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中国の次期皇帝となる習近平氏の周りを囲む、新しいブレーンが判明してきた。
まず習氏の妻、彭麗媛夫人は少将にして軍所属歌手。軍内で台頭した劉源氏は劉少奇氏の息子で習氏の幼馴染み。また、総後勤部副主任の劉衛平氏は中学の同級で遊び仲間。大学同級生の何立峰・天津副市長が参謀役、精華大学同級の陳希・遼寧省副省長らの発言力も増す。やがて軍の高官も、習氏に忠誠を誓う人脈で満たされるだろう。中国的特徴から言えば、家族、一族郎党、親戚ならびに郷土人脈が重宝される。キッチン・キャビネットでは習氏の母親=斉心氏が最大ブレーンとなる。
北京情報通は次の分析をする。
太子党内は「内ゲバ」で2派に分裂。胡耀邦・元総書記の息子で「自由民主」を掲げる胡徳平氏が率いる開明派と、軍国主義を掲げて共産党支配の強化を唱える劉少奇・元主席の息子、劉源氏率いる1派だ。この両派の均衡もライジングスターだった薄熙来氏が失脚したため、ゲームのやり方が変わった。
全人代委員長(国会議長)には李源潮氏の可能性が大となり、政協会主席には、太子党から女性の劉延東氏の可能性がささやかれている。
前向きな能吏が次期政権には不在となり王岐山氏、李克強氏、李源潮氏、汪洋氏らの政治局常務委員会入りが予測されるものの、これら指導者には「民主化」のカリスマ性が乏しい。そのうえ王岐山氏と李源潮氏は太子党だから、李克強氏、汪洋氏らとは対立関係となる。重心が2つに分かれては、政治局常務委員会はなかなか1本にまとめにくいだろう。
胡錦濤・国家主席が率いた共青団(共産主義青年団)人脈の勢力拡大は一段落し、「第6世代」の指導者として残るのは周強・湖南省書記、胡春華・内蒙古書記あたり。習政権では共青団出身者は大きく排除され、太子党、上海派からの抜擢が急増するだろうという。
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フランス大統領選で再選を目指す現職のニコラ・サルコジ氏が、極右票の獲得に向け大きく右に舵を切り始めた。「フランスには外国人が多過ぎる」として移民の受け入れを現在の約半分の年10万人に減らす方針を示した上、欧州統合の根幹的な理念である域内の人の移動の自由を保障する「シェンゲン条約」からの脱退の可能性にまで言及した。さらにユダヤ人学校の銃乱射事件もこの“右旋回”に重なる。
フランス大統領選は4月22日に1回目が実施され、過半数に達した候補者が出なかった場合、5月6日に決選投票が行われる。中道右派、国民運動連合(UMP)を率いるサルコジ氏と、社会党のフランソワ・オランド氏との一騎打ちの構図だが、苦戦を続けていたサルコジ氏が極右政党、国民戦線の支持層を切り崩す作戦に出た形だ。
ハンガリーからの移民2世のサルコジ氏だが、移民に対しては従来、強硬な姿勢を示してきた。大統領就任前、2005年のパリ暴動の際には参加者を「社会のクズ」呼ばわりして物議を醸したことがある。
一方、オランド氏は、年金支給年齢の62歳から60歳への引き下げ、富裕層への所得税を75%までアップなど、低所得層にアピールする公約を打ち出している。実現可能性は疑問ながら、この5年間のサルコジ氏の強引な政治手法に嫌気が差している有権者にとっては好ましい人物像に映っているようだ。ただ、大統領としての資質は未知数だ。
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中国の自動車メーカー、長城汽車が2月、ブルガリア北部ロベチ近郊の組立工場で生産を開始した。
中国の自動車メーカーが欧州連合(EU)域内で工場を稼働させるのはこれが初めてで、欧州の自動車メーカーが安い労働力と巨大市場が魅力の中国に工場を設置するのは当たり前だったが、好調な経済を背景にした中国実業界の世界戦略の拡大に伴い、中国企業のEU進出も加速しそうだ。
新工場では当面、スポーツ用多目的車(SUV)など年間4,000台を生産。2015年までに5万台に増やすという。操業開始時の従業員は120人で、同年時点で2,000人に拡大する予定。完成車はブルガリアのほか、セルビアやマケドニアなど、周辺の東欧諸国で販売する。軌道に乗れば、欧州全域に広げたい考えだ。長城汽車の王鳳英CEO(最高経営責任者)は生産開始式典で、「欧州市場への進出はわれわれの戦略」と意欲をむき出しにした。
長城汽車以外の中国の主要自動車メーカーも、EU進出を虎視眈々と狙っている。しかし、これまでのところ、EUの安全基準を満たしていないため許可が出ず、中堅の長城汽車に先を越された形となった。
長城汽車の自動車は、性能面では実績のある欧州や日本のメーカーにまだまだ及ばない。しかし、小型トラックの価格を日本車の4分の3に抑えるなど、低価格販売に徹する予定で、欧州最貧国の1つであるブルガリアでは競争力を維持しそうだ。
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11月の米大統領選に向けた共和党候補者指名争いは、3月のヤマ場だった「スーパーチューズデー」を越えた。オハイオ州をはじめ計六州を制したミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事は、オバマ大統領との本選挙を意識して、大統領として経済・外交の分野で展開する政策の立案作りを始めた。
最大の焦点である経済政策では、現在アメリカを代表する2人の経済学者を陣営内に引き入れたことが大きい。1人はハーバード大学のグレゴリー・マンキュー教授だ。今、世界で最も使われているマクロ経済学のテキスト『マンキュー経済学』の著者である。もう1人はコロンビア大学のグレン・ハバード教授。彼はブッシュ政権時代にも経済政策を経験しており、この2人ならば雇用と景気回復についてしっかりした政策が立てられるとの評価だ。
オバマ大統領との本選挙の場合には数%差の大接戦となることが予想されており、無党派層、特に若年層の無党派層の投票結果が大きなポイントになりそうだ。選挙の専門家や米国のエコノミストたちが特に注目しているのが、「米国の経済成長率(GDP)が11月6日の投票日に向けて2.5%を大きく超えてくれば、その間に新規雇用が生まれ、失業率も低下し、若年層がオバマ大統領に投票する」という分析だ。
しかし、もしGDPが2.5%以下で11月まで推移するようであれば、若年層にとって新規雇用が生み出せず、また有権者層全体も景気回復を実感できないため、結果としてロムニー氏に新しい経済政策を期待するという展開になり、この人選が意味を持つ。
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天然ガス売りつけが目的か、プーチン氏の北方領土発言 |
ロシアのプーチン首相が大統領選の直前、「朝日新聞」など西側メディア幹部と会見し、北方領土問題の「引き分け」を提案したのは、天然ガス売り込みに向けた懐柔策との見方が有力だ。プーチン氏は昨年3月の東日本大震災で福島第1原発事故が起きた直後、閣議で日本へのエネルギー支援策を検討するよう指示しており、大統領就任後に向けてトップセールスに出たようである。
「今春、日本ではすべての原発が運転を停止します。その分、化石燃料の輸入を増やす必要がある。ロシアの液化天然ガス(LNG)の出番になります」(商社筋)
欧州諸国は輸入先の多角化を進め、ロシアからの輸入量は縮小。米国もシェールガス開発が大成功し、昨年のガス生産量はロシアを抜いて世界一になった。
「日本が購入しているガスの価格は、米国の国内価格の8倍。ガスが世界的に余剰気味になる中、高価なガスを購入しているのは今や日本と韓国程度です」(同)
プーチン次期大統領は日本をガス輸出の最有望市場と重視している。領土問題の柔軟発言もガス輸出増の布石というわけだ。
「プーチン氏はこれまでにも2島引き渡しで決着という立場を何度も表明しており、国民への公約となっています。それ以上の譲歩は考えられない」(モスクワ特派員)
高価なガスを日本に買わせるレトリックと読み取るべきか。
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カリブ海の島嶼国家が、軒並み中国資金の猛烈な建設ラッシュに沸き、これまで「米国の中庭」という認識だったワシントンが慌てている。とりわけアメリカ人の神経を逆なでしているのが、フロリダからわずか80マイル南のバハマ群島である。
リゾート群の投資は合計26億ドル。中国輸出入銀行が融資をつけ、香港の「和記(ハッチソン・グループ)」が港湾の拡充建設を請け負い、労働者は中国から連れてきた。ノルウェー船会社経営のクルーズ路線も、いつの間にやら半分の株式は香港企業のものとなっていた。ジャマイカでは空港の設備近代化と新ターミナル建設に加え、水力発電所建設プロジェクトに中国が4億ドルを支援している。
また、キューバの光ファイバー電話網を敷設しているのも中国。トリニダード・トバゴで4月から建設が始まる病院には中国がポンと1億5,000万ドルも出した。もちろん、これらは政治的配慮にもとづく融資によるプロジェクトで、表向きは商業主義、市場原理に立脚する。地元の反政府側の人々は「入札は不公正であり、建設の質はいい加減であり、政権へのキックバックは当然なされているだろう」と不満を述べる。
10年前まではグレナダやドミニカへの投資は「台湾カード」と引き替えだった。すなわち、台湾と断交すれば援助が目の前にぶら下がっていた。しかし、今やトリニダードもジャマイカもバハマも台湾とは外交関係を断絶した国々であり、中国が巨額を投資している政治的理由は明らかに台湾断交ではない。
こうなると、「彼らのホンネは戦略的な背景があり、北米大陸を睨む要衝で潜在的軍事拠点の構築にあるのではないか。キューバと代替できる拠点化ではないか」と、米国シンクタンク研究員らが口を揃えている。
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