浜岡原発“21mの津波も安全”4月16日 18時51分
「南海トラフ」付近で起きる巨大地震に伴う津波が、静岡県の浜岡原子力発電所付近で建設中の防波壁の高さを上回る最大21メートルと想定されたことを受けて、中部電力が、浜岡原発の安全性を検討した結果、運転が止まった現状では、津波で原子炉などを冷やす機能が失われても、高台に配備したポンプを使って安全は確保できるとした報告をまとめました。
浜岡原発では、津波の被害を防ぐため、海抜18メートルの防波壁が建設されていますが、国の検討会は、先月、南海トラフ付近で起きる巨大地震に伴う津波の高さが、原発付近で最大21メートルとする想定を公表しました。
このため中部電力は、廃炉に向けた作業中の1号機と2号機、それに去年5月までに運転を停止した3号機から5号機について、核燃料が残っている原子炉や使用済み燃料プールへの影響を検討しました。
その結果、原子炉が停止中で、燃料が比較的冷えた状態にある現状では、津波で原子炉などを冷やす機能が失われても、水が蒸発して燃料が露出するまでに、最も短い5号機の原子炉で6日間あるとしました。
その間に、高さ25メートルの高台に配備したポンプを使って、原子炉やプールに水を入れれば、燃料を冷やすことができると説明しています。
中部電力は、「原発に水を送る配管などの主要な設備は、地震で壊れないと評価していて、安全は十分に確保できる」としています。
また今後について、「国の検討会の津波の詳しいデータを入手し、数か月かけて評価したい」と説明していて、運転中の状態での安全性や防波壁のかさ上げは改めて検討するとしています。
浜岡原発の津波対策これまでの経緯は
国の検討会の新たな想定で最大で21メートルの津波が押し寄せるとされた静岡県御前崎市の中部電力浜岡原子力発電所では、海抜18メートルの防波壁の建設が去年11月に始まったばかりでした。
浜岡原発を巡っては、去年5月に当時の菅総理大臣が東海地震の想定震源域のほぼ真ん中にあり、大規模な津波に襲われる可能性が高いとして、中長期的な津波対策が完了するまで、すべての原子炉の運転を停止するよう要請し、現在、運転を停止しています。
この要請を受けて中部電力は、去年7月に原発の海岸側1.6キロにわたって海抜18メートルの防波壁を新たに建設する計画を明らかにしました。
福島第一原発を襲った津波が最大で15メートルに達していたことを踏まえ、東海、東南海、南海の3つの地震が連動して起きた場合に想定していた津波の高さ8メートルを、さらに10メートル上回る高さに設定したのです。
防波壁本体の工事は去年11月から始まり、ことし12月までに完了する予定です。
中部電力は、このほかにも海岸側の盛り土をかさ上げしたり、原子炉を冷却する装置がある部屋の扉を防水構造にしたりする対策を進める計画で、対策費用は、当初、1000億円を見込んでいましたが、防波壁の基礎工事などを強化するため、1400億円に増える見通しです。
こうしたなか、先月31日、国の検討会で、南海トラフ付近で起きる巨大地震に伴い、浜岡原発付近に押し寄せる津波は最大で21メートルに達するという新たな想定が公表され、原子力安全・保安院が、中部電力に原発への影響を評価するよう求めていました。
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