2010年10月23日

だから子どもと一緒に新聞を=森忠彦

ありがたいことに、最近、小学生向けに発行している「毎日小学生新聞」への問い合わせをよくいただく。

私たちが暮らす新聞業界全体は、年々顕著になる活字離れ、新聞離れに悩まされているが、「子どもにはきちんと新聞を読ませたい」という読者は増えているように思う。編集部にいただく電話で保護者の方(大半はお母さん)と毎日お話をするが、よく言われるのが「子どもに一般の新聞を読ませても読まない。実は私も難しくてよくわからない。子どもに説明できない」というご相談である。

恐らく、多くの一般読者が毎日新聞をはじめとした日本の一般紙に持っている率直な印象ではないかと思う。現代が複雑怪奇で、かつ情報量も膨大ということもあるだろうが、新聞離れが進む理由の一つには、私たちが書く記事が専門的になりすぎ、時には「読者にわかりやすく」という基本を忘れてしまっていることもあるのだろう。

毎日新聞の場合はそうした反省もあり、「なるほドリ」や「ニュースナビ」のように、事件や現象が基礎からわかるような解説を載せる紙面改革を進めてきた。かなりわかりやすくなったと思うが、それでもなお、お母さんたちの「子どもに十分説明できない」という声はなかなか消えない。中には、正直言って子どもに読ませたくないようなニュースもある。

そういう状態だからこそ、やはり、子どもには子どもの目線でとらえるようにしている「子どものための新聞」の存在意義があると信じたい。まずは、こうした媒体があることを知っていただきたい。それにしても、子どもに新聞を読ませる家庭がどうして増えているのか。

一つは、最近の中学、高校などの入試問題で、時事問題を使った出題が増えているためだ。例えば、今春の埼玉県内のある中学入試では、麻生政権になって直後に辞任した大臣のことが出題された。さあ、どれほどの大人が答えられるだろう?

さらに、今春から小学校でも先行実施が始まった新しい学習指導要領で「授業の中で新聞を読む」という項目が加わったことだ。すでに多くの学校で新聞を教材にした授業が進んでいるが、今後はさらに踏み込んだ形で社会や理科、国語の教材の一部として活用される。大人では新聞離れが進んでいるが、子どもの世界は逆に動いているのだ。

こうした動機はともかくとして、子どもたちに小さなころから社会への関心を持たせることは重要だと思う。小学生といえども、今の時代を生きる日本人の一人として、あらゆる社会現象にかかわって暮らしている。そのことを常識の範囲内で認識させるのは大人の責任だし、特に家庭の中で重要な役割を担っているのが父親だろう。

先日の父の日に合わせて父子関係を尋ねたインターネットのアンケート(ニフティ)の調査結果がある。「休日に子どもと過ごす時間は?」に一番多かったのが「30分〜1時間未満」15%。次いで「1〜2時間」「2〜3時間」とともに「0分」が14%もいた。7割の人が3時間未満だった。「会話する時間が持てない」(40代)という事情はわかるが、中には「共通の話題がない」(30代)という人もいた。

この共通の話題を、あまり難しく考える必要はないと思う。必ずしも、子どもたちが好きな流行番組やゲームを知らなくてもいい。塾の問題が解けなくてもいい。子どもが父親に期待しているのはそんなことではない。父親が体験を通して話してくれる何かを待っているのではないか。

例えば、追悼の波が広がるマイケル・ジャクソンさんの思い出でいい。間近に迫った衆院選挙って何?でもいい。この度の定額給付金で、子どもに大人よりも多い2万円が支払われたことの意味も一緒に考えてみてほしい。父親なら、自らの経験で今の不景気と、その中で支払われる給付金の意味が語れるだろう。

こうしたことこそが、まさに生きた教材、教育なのではないか。学校や塾に任せず、社会のことは親がきちんと自分の体験と言葉で伝える。そのきっかけとして、子ども向けの新聞を教材にしていただけると、さらにうれしい。

近年、教育現場で「PISA」(国際学習到達度調査)という言葉がよく登場する。単なる知識の多さではなく、物事の本質を理解し、考え、どう解決(実行)に移すかの力が問われる時代だ。私たちの世代はこうした方針で育てられることは少なかったが、だからこそ、子どもと一緒にその力を育てていきたい。

間もなく夏休み。子どもたちは手ぐすねひいて待っています。たまには仕事よりも、子どもとの時間を優先しませんか。子どもにとっての一番の教師は、何よりも、身近な生身の大人のはずだから。埼玉デリヘルを探すならズバデリ埼玉です。割引特典がいっぱいですよ。
posted by bkye at 19:53| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする