ニュースランキング

'12/4/16

飲酒運転撲滅条例へ遺族始動



 昨年5月に飲酒運転の車にはねられて亡くなった広島市安佐南区の崇徳高2年三浦伊織君=当時(16)=の両親が、飲酒運転撲滅を掲げる広島県条例の制定を求めて活動を始める。「息子の死を無駄にしたくない」との強い思いで、県議会や県警に近く要望書を提出する。

 父の会社員克哉さん(44)と母の主婦由美子さん(41)。福岡県で今月1日に一部施行された飲酒運転撲滅条例をモデルとする条例制定を目指す。

 福岡県条例は、家族や知人が飲酒運転すれば警察に通報する▽事業者は従業員の飲酒運転防止対策を講じる▽飲食店は啓発ポスターを掲示する―などの努力規定を明記。さらに同種条例で全国初となる罰則規定が9月に施行されるのが特徴だ。

 具体的には、飲酒運転で2回摘発された人にアルコール依存症の診断を受けることを義務化。また、飲酒運転で客が摘発された飲食店が、県公安委員会から指示された対策を怠った場合、指示書の店内掲示を義務付けた。いずれも応じなければ5万円以下の過料。

 克哉さんと由美子さんはこうした規定に加え、酒を提供する飲食店に、車で来店した客の鍵の預かりや代行運転の利用確認などの義務付けも求める。

 二人は飲酒運転にわが子を奪われた全国の親と連携し、厳罰化を求める署名集めなどをしている。昨年2月の事故で高校1年の長男を失った福岡市の母親から福岡県条例について聞き、広島での制定を目指すことにした。

 息子を失った事故の裁判員裁判で、被害者参加制度を利用して法廷に立った由美子さんは「裁判を通じ、飲酒運転を止められなかった周囲の課題も痛感した。条例制定で社会の意識を変えたい」と力を込める。

【写真説明】「伊織の死を無駄にしない」―。遺影の前で、条例制定の要望書案を手にする由美子さん




MenuNextLast