「キムチやビビンバ、プルコギはよくご存知でしょうが、韓国料理の中で最も大切なのは『ジャン(醤)』です」
14日午後4時(現地時間)、シンガポールの高級ホテル「コンラッド・センテニアル」のレストラン「オスカーズ」。普段はランチとディナーの間のブレイク・タイムで人が少ない時間帯だが、この日は外国人シェフ約20人が集まっていた。シェフたちはソウル市内のモダン韓国料理レストラン「コンドゥ」のイ・ファニ・シェフが作る韓国料理をじっと観察していた。
同ホテルでは12日から1週間にわたり「ジャン-韓国の味のエッセンス」と題したイベントが開催されている。「ジャン」とは韓国語でしょうゆ・みそ・コチュジャン(唐辛子みそ)を意味する総称だ。同ホテルの副支配人・張泰宝氏(46)は「韓国ドラマなどの流行で、韓国料理店が増えて、韓国料理を紹介するイベントも多いが、韓国料理の基本である『ジャン』を紹介するのは今回が初めて」と語った。
この韓国料理教室は、12日と13日にシンガポールの現地メディア、シェフ、飲食業界関係者らを対象に行われた昼食試食会に続くイベントだった。主催者側は、海外で一般的に呼ばれている「ソイ・ソース(しょうゆ)」「ソイビーン・ペースト(みそ)」などの言葉は使わず「カンジャン(しょうゆ)」「テンジャン(みそ)」という韓国語をそのまま使った。「コンドゥ」のハン・ユンジュ社長は「日本や中国のしょうゆ・みそと、韓国のしょうゆ・みそを区別し、差別化するためにあえて韓国語の呼び名を使った」と語った。
主催者側はシェフたちにしょうゆ・みそ・コチュジャンの製造方法や使い方を説明した後、それぞれのジャンで作った韓国伝統料理と、今流行の「分子料理法」(食材や調味料を分子単位で研究したという料理法)などを活用し現代風にアレンジした韓国料理を3種類調理し、味を比較できるようにした。まず、しょうゆ・砂糖・ごま油などであえた韓国で一般的に食べられている「牛肉ユッケ」と、紙のように薄く切った牛肉に分子料理法でボールの形にした「しょうゆキャビア」を載せた「モダン・ユッケ」が披露された。