ストーリー:橋下氏、野心の源流 破れた革ジャン5万円−−司法修習同期の証言
2012年04月15日
奈良・吉野。アユやアマゴの棲(す)む渓流沿いに探していた山荘はあった。黒っぽい2階建ての建物。ウッドデッキが渓流に向けてせり出したモダンな造りだ。
1995年夏。山荘に向かう曲がりくねった山道をオンボロ車がヨタヨタと走る。ようやく先行車に追いつくと、一人の男が運転席から降りて、待ちかねていた仲間2人にこう声をかけた。「河野(かわの)さんの運転テクニックには付いていけませんよ」。当時26歳の橋下徹大阪市長だ。瞬間、その場の空気がなごんだ。司法修習生になって約5カ月後のこと。待っていたのは修習生の同期たちだ。その後、この男が地域政党「大阪維新の会」代表として、中央政界を巻き込んで巨大な渦を作っていくことはまだ、誰も知るよしはなかった。
「万事、こういう感じなんです。本当に憎めないでしょう」
同期の河野豊弁護士(48)は大阪市内の事務所で取材に応じ、同期4人で行った奈良県東吉野村の山荘合宿の一コマを思い出してくれた。