長崎県佐世保市の指定暴力団九州誠道会永石組(本部・佐賀市)事務所ビルの周辺住民が、組長とビル所有者の組員を相手取り、組事務所としての使用禁止などを求めた訴訟の判決が16日、長崎地裁佐世保支部であった。菊地浩明裁判長は「組事務所として使用されれば、近隣住民の生命・身体が深刻な危険にさらされることは明らかだ」として原告の請求を認めた。監視カメラや投光機などの撤去を求めた請求については棄却した。
事務所撤去を目指し、住民側が訴訟と並行して進めた買い取りによる和解交渉は、金額が折り合わずに決裂。勝訴が確定しても「住居」としての使用は可能で、住民側は組員の出入りなどをチェックする監視活動なども検討する。
訴状などによると、住宅地にあるビルは4階建てで、約150メートル先には小学校がある。組関係者が2007年3月に競売で落札。住民側は、指定暴力団の九州誠道会(福岡県大牟田市)と道仁会(同県久留米市)の抗争が激化したことから「(事務所近くでは)平穏な生活を営むことができない」として組員の立ち入りや、会合、儀式の禁止など事務所としての使用禁止を求めて提訴。組側は「組事務所ではなく、個人の住居」として請求の棄却を求めていた。
事務所は、組員の立ち入りを禁止する住民側の仮処分申請が認められて、現在裁判所の管理下にある。
=2012/04/16付 西日本新聞夕刊=