京畿道水原市で28歳女性がバラバラ遺体で見つかった殺人事件で、京畿地方警察庁は12日、呉元春(オ・ウォンチュン)容疑者を逮捕した当時の様子を詳細に説明した。それによると、「夫婦げんかの声を聞いた」という証言に基づき、捜査員が当時、犯行現場となった容疑者宅の隣家を現場と誤認していたことが分かった。
事件当日の2日午前9時半ごろ、捜査員は犯行現場の周辺で、商店経営者から「夫婦げんかのような声を聞いたが、特に気にしなかった」との証言を得た。この商店の脇にある路地の2軒先が容疑者宅だったが、捜査員はその手前の民家で1時間にわたりドアをたたき続けたという。捜査員は「夫婦げんかを聞いた」という有力情報を得てから、容疑者逮捕まで2時間20分の時間を費やした。
女性から「性的暴行を受けている」と絶叫する112番通報(日本の110番に相当)があった状況で「夫婦げんかの声を聞いた」という証言も実際の状況とは異なったが、一刻を争う状況で、現場の隣家でドアを1時間たたき続け、時間を無駄にしたことには言葉を失わざるを得ない。
警察はドアを1時間たたき続けたところ、その家に住む高齢の女性が出てきて「隣家にモンゴル人(実際には中国・内モンゴル自治区出身の朝鮮族)が住んでいる」と語ったことから、隣家のドアをたたき、再び1時間以上を無駄にした。
逮捕当時の状況について、警察幹部は「ドアをたたいたが、呉容疑者がドアを開けないため、家の周囲をチェックした。トイレの明かりがともっていたため、出てこいとドアをたたき続けた末、ドアを破って入ろうとしたところ、呉容疑者がドアを開けた」と説明した。
警察関係者は「『ドアを壊すぞ』というと、呉容疑者がドアを開けて出てきた。手に血が付いていたため、室内を調べたところ、遺体を発見した」という。
警察は当初、捜査状況の中間説明で、「夫婦げんか」証言を得た時刻を午前11時と説明していたが、これについては「(単純な)行政上のミスであり、捏造(ねつぞう)しても警察には利益にならない」と説明した。逮捕時刻は午前11時50分だったが、有力情報を得てから2時間20分後の逮捕と50分後の逮捕に大差はないと言わんがばかりの説明だった。