水原バラバラ殺人:日米の初動捜査と落差

 京畿道水原市で起きた28歳女性のバラバラ殺人事件は、突発犯罪に対する韓国の警察力の現状を露呈させた。拉致され、性的暴行を受けた被害者は、112番(日本の110番に相当)に比較的正確に自分の居場所を告げ、必死に助けを求めた。しかし、悲鳴が続く絶体絶命の状況で、警察側は「夫婦げんかではないか」と疑うあきれた反応を見せた。日米のように緊急時の救助体制が発達した国では、あり得ないことだった。

 米国は最近、被害者が加害者に気付かれないようにかける通報電話が増えたことから、「沈黙通報」に対する訓練を強化している。通報者が応答しない場合「緊急通報ならば、どのボタンでもいいから押してほしい」などと呼び掛け、反応があった場合には「警察を呼びたいなら1番、救急車が必要なら2番」という具合に無言のままで情報を受け付ける。何も反応がない場合でも、警察はもれなく出動し、通話受け付け担当者は、警察官が現場に到着するまで、電話が切れないよう最大限努力し、質問を繰り返すという指針が定められている。

 米国の警察はまた、携帯電話のメールに慣れた世代に対応するため、2010年にメールによる通報制度を導入した。07年にバージニア工科大で起きた銃乱射事件のように、電話をかけると命が危うい状況を想定した措置だ。このほか、武装した犯人が歩き回っている場合や、特定地域に危険物質が流出した場合などには、周辺にいる人に警察から電話をかけ、危険を知らせるようにしている。

 ニューヨーク市警の現役刑事は「殺人、性的暴行、拉致などの犯罪は、最優先に処理するため、出動中に別の事件を目撃しても、いったんは無視し、現場に直行する」と話した。その上で、緊急通報に対しては「誰にやられたのか」「ドアはどうやって開けるのか」などといった質問はせず、徹底的に「今何が必要か」を尋ねるという。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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