京都市車暴走事件 警察、殺人容疑で藤崎晋吾容疑者の会社や自宅を家宅捜索
京都市東山区の路上で起きた暴走事件で、13日、警察が殺人容疑で家宅捜索を行った。
京都市の祇園で18人が死傷した惨劇から丸1日がたった。
交差点の近くにある川べりでは、桜が見頃を迎えていて、14日も多くの観光客が訪れていた。
この事件で亡くなった鴨下孝子さん(62)も、京都に桜を見に訪れていたという。
鴨下さんの兄は、「2週間ぐらい前に、『京都の方に行くよ、2人で』。(目的は)たぶん、桜じゃないでしょうか。そのほかにも神社仏閣」と話した。
また、鴨下さんの同僚は「とても明るくて、すごく上品な方で、とても優しい女性でした」と話した。
死傷した18人のうち、12人が京都以外から訪れ、今回の惨劇に遭っていた。
事故直前をとらえた防犯カメラ映像では、追突されるタクシーのあとに、藤崎晋吾容疑者(30)の車が続いていた。
始まりは、この直後に藤崎容疑者が起こした追突事故だったという。
多くの人が被害に遭った交差点から170メートルほど離れた場所で、藤崎容疑者の車は、タクシーとの追突事故を起こした。
しかし、藤崎容疑者の車は、タクシーに追突したまま、アクセルを踏み込んでいたという。
目撃者は「ほとんどノンストップで、止まる形跡もなく。そのままタクシー押したような感じで逃げていった」と話した。
その様子を追突されたタクシーの運転手は、「わたしの車、当然、左に寄せます。横すり抜けて逃げて行った」と話した。
そして車は、四条通との交差点に向かい、横断歩道の歩行者の列に突っ込んでいったという。
小池さん夫婦は、信号が青に変わり、横断歩道を歩き始めたという。
小池さん夫婦を知る人は「とってもご夫婦は仲のいい人だから、もう1日中一緒だから...。いつも2人一緒。そのくらいベッタリだから、旦那さんを慕っていて...」と語った。
夫の小池賢次さん(77)は、暴走する車によって命を落とした。
事故が起きたのと同時刻を迎え、現場では花を供える人が相次いだ。
交差点には、多くの花が手向けられた。
花を手向けた人は「人ごととは思えなくて」と語った。
そして、この交差点で命を落とした澤西桃代さん(62)は、昼食のため、会社から近くの家に帰る途中だったという。
澤西さんが勤務する会社の経営者は「さみしいというか、残念というか。だんだん悔しさがわいてくるのでは」と語った。
多くの人が倒れ、悲鳴を上げる交差点。
しかし、暴走する車は、この交差点で止まらなかった。
藤崎容疑者の運転する車は、飲食店の壁に大きな傷を残し、電柱に衝突してようやく停止した。
タクシーの追突事故から、およそ360メートルの暴走だった。
この暴走車が止まる寸前にも、巻き込まれた人がいた。
事故に巻き込まれた男性を見た人は「自転車で通りかかられた人が巻き込まれて、上向きで吐血されていましたし、かなり血も出ていたので」と語った。
暴走車が停止する直前にはねられ、命を落とした奥村昌彦さん(40)は、2011年12月に結婚式を挙げ、6日前には、女の子が生まれたばかりだった。
初孫のために布団を届けた母親に言った「お母さん、おおきに」のひと言が、奥村さんとの最後の会話となった。
藤崎容疑者の父親は「息子はおとなしい、優しい男ですわ。おやじと違って。かわいそうです、本当に」と語り、姉は「ひき逃げして、人を殺すような子ではないので、本当にそれは絶対違います。意図的に人を殺すような子では絶対ないです。亡くなられた方には、本当に...、申し訳ないです。家族の管理不足でした」と語った。
警察は、殺人容疑で、藤崎容疑者の勤める会社や自宅に家宅捜索を行い、捜査を続けている。
また、暴走の原因と藤崎容疑者の持病についての関係はわかっておらず、現在も司法解剖が行われて、原因究明をしている。
元東京地検特捜部副部長の若狭 勝弁護士は、今回、警察が殺人容疑で家宅捜索した意味合いについて、「警察が先を考えて、どういう事実で先々問題にするかということで、幅広に証拠物を押収できるようにするために、殺人罪で捜索してるんですね。業務上過失致死とかになると、押収できる証拠物はかなり限定されてしまうので、殺人罪になると、動機関係とか、そういう意味合いではいろいろな証拠物が押収できると」と語った。